クロメルは興奮を抑えきれなかった。目の前にただ一人立つ狼少年は、バトルロイヤルの優勝者。そしてクロメルの〝狩り〟の対象者だ。
戦いに渇いたクロメルに、狼少年の死を乗せた爪が迫り来る。自分を「気狂い」と吐き捨てる少年を、クロメルは指差した
。
「さっきからずっと、笑っているよ?」
※「カクヨム」「Nolaノベル」にも掲載。
※本作は「ゆるプロット前夜祭」参加作品です。
蝉時雨あさぎ様のゆるプロットに沿って執筆したお話になります。
お題は、『青年(20~29)の男と
ティーン(11~19)の人外の
異世界ジャンルで
「バトルジャンキーな男と人外」が
「出会ったことで運命が狂わされる」話』折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-14 22:05:47
7493文字
会話率:32%
「リチャード! リチャード!」
七十歳の足音が聞こえ始める耳に、お嬢様の叫び声が飛び込んできた。何事かと心臓が飛び跳ね、慌てて振り向く。
お嬢様は華の十七歳。遠くから聞こえたような声でも、その姿はあっと言う間に目前まで来ていた。
「あの
ね、調べてほしい人がいるの」
「調べてほしい人、ですか」
『そうよ』と息巻いたお嬢様は、社交界で会う人の名前を調べてほしいと話し始めた。
※本作は、蟬時雨あさぎ様の「ゆるプロット交換会」にて、美澄 そら さまのゆるプロットを元に執筆した作品の続編(どちらからでも読めるタイプの短編小説)となります。
「ゆるプロット交換会」についての詳細(企画主、蟬時雨あさぎ様の『「ゆるプロット交換会」作品リンク集め』)は、カクヨムに投稿した同作品にリンクを付けています。
「ゆるプロット交換会」の参加作品(この話の前作にあたる作品:数年前のお嬢様視点)→「お嬢様として生まれたリリィは自由奔放でいたかったけれど、十歳になり立派なレディを志します!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-11 19:00:00
7138文字
会話率:35%
唯一、私の遊びを否定をしなかった執事のリチャードでさえ、近頃は『そろそろ年頃になるのだから』と思っているんじゃないかしら。そんな視線をヒシヒシと感じる。
十歳になって、自由な時間はめっきり減った。
言葉遣いの勉強だの、お茶会の練習だ
の、そんな学びの時間ばかりに縛られるようになったの。
私は風を感じたり、風景を見たりして感じたものを絵を描くのが大好きなのに。
これからも、好きなことをする時間はもっとなくなっていくのかしら?
もし、それが大人になることだったら、私は大人になんかなりたくない──なんて、いつの間にか願っている。
お父様とお母様は、私が絵を描くことをよく思ってはいなかった。走り回ることも、木に登ることも同じ。
『お嬢様』は、そういうことをしないから。
『お嬢様』は社交界で華やかに過ごすことが『普通』。『普通』ができなければ、『恥』。私が『恥』になれば、お父様もお母様も……『家』が『恥』になる。
リチャードの役割は、私を『普通』にすることだ。
お父様とお母様は、私に『普通』を求めているけれど、リチャードは……私に、何を求めたかしら。
※本作は「ゆるプロット交換会」参加作品です。
美澄 そら さまのゆるプロットを元に執筆した作品となります。
「ゆるプロット交換会」についての詳細(企画主、蟬時雨あさぎ様の『「ゆるプロット交換会」作品リンク集め』)は、カクヨムに投稿した同作品にリンクを付けています。
※また、この作品の続編となる作品(どちらからも読める短編:数年後の執事視点)を同日19時に公開予定です。
続編→「産まれたときから見てきたお嬢様が初恋をしたようです。執事の私はお嬢様付きのメイド三人組を巻き込んで、お嬢様の幸せを見守っていきます」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-11 18:00:00
3493文字
会話率:27%