神託によって勇者に選ばれたのは私の夫だった。妻として誇らしかった、でもそれ以上に苦しかった。勇者と言う立場は常に死と隣り合わせだから。
『ルト、おめでとう。……でも無理しないで、絶対に帰ってきて』
『ああ、約束するよ。愛している、ミワエナ
』
再会を誓いあった後、私は涙を流しながら彼の背を見送った。
そして一年後。立派に務めを果たした勇者一行は明日帰還するという。
王都は勇者一行の帰還を喜ぶ声と、真実の愛で結ばれた勇者と聖女への祝福の声で満ちていた。
――いつの間にか私との婚姻はなかったことになっていた。
明日、彼は私のところに帰ってくるかしら……。
私は彼を一人で待っている。『おかえりなさい』とただそれだけ言いたくて……。
※作者的にはバッドエンドではありません。
※他作品『一番になれなかった私が見つけた幸せ』の前日譚でもありますが、そちらを読んでいなくとも大丈夫です。
※アルファポリスで先行投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-23 09:16:17
21134文字
会話率:27%
千年の眠りから目覚めた吸血姫、ツェツィーリエ・ベヒトルスハイム。
眠り続けた彼女の目覚めに立ち会った少女、天野うずめ。
これは、二人を中心に回る日常の物語。
だけれど、少しだけ不思議な世界も共存する、異能の物語。
しかし、二人はや
がて惹かれあう。主人と従者ではなく、友、親友、あるいは、それ以上として。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-21 00:07:01
101461文字
会話率:54%