最下級悪魔の仕事は、牢獄の掃除と食事運搬。
だが、人間の少女の「外の空気が吸いたい」というひと言が、彼の心に小さな火を灯す。
恐怖と絶望に支配された魔王城で、ただ一人「パンを届ける配達員」の存在が希望となる――。
パンが繋ぐのは命か、破滅
か。
悪魔と少女と配達員が織りなす、ささやかな逃避行の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-08 00:40:54
4193文字
会話率:25%
黄泉河において、力とは魔法や剣ではなく、魂の鏡である鏡である。鏡は、持ち主の傷、嘘、そして心の奥底にある願いを映し出す。鏡は人の魂に宿る根源的な元素であり、目に見えない影として現れる。復讐心に燃える者には火竜の姿、冷酷な者には氷の裂け目の姿
、そして善の幻想を信じる者には光の翼の姿をとる。しかし、鏡は贈り物ではなく、権力者が権力階層を確立するために作り出した牢獄である。
黄泉河の社会は魂のカーストに分かれている。神聖な鏡を持つ天慶は、壮麗な寺院と精鋭部隊を擁し、神々のように暮らしている。強力な鏡を持つ貴族である聖女は、天慶の右腕として民衆を抑圧する。平民である平民は、支配者の鏡に魂のエネルギーを注ぎ込むことを強いられる。一方、カガミを持たない無残は屑とみなされ、奴隷、儀式の生贄、実験材料として売られる。有力な一族が破壊を助長する。平和な芸術の国、ツユクサ一族。エルフとドワーフの魔法を操るハラガミ一族。火山国、リュウガ一族はカガミを火の兵器として作り出した。
この世界では、カガミと恋路が支配者である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-17 15:40:41
5724文字
会話率:36%
ひとりの女の子がいました。彼女には、物語をつくる不思議な才能があり、ノートに書かれたお話はとても力強く、人を別世界に引きこむほどでした。ですが、彼女が中学生になるころから、その物語は恐ろしく、深い絶望に包まれたものへと変わっていきます。
クラスメイトも「こわい」と距離をとるようになり、彼女は孤立してしまいました。
現実のつらさから逃れるために、彼女はますます自分だけの物語にのめり込んでいきます。しかし、その世界は闇や悲しみにあふれ、書き進めるほど彼女自身も心をむしばまれ、やがては現実と空想の境目を見失ってしまいます。最後には、自分が作ったもっとも暗く絶望だけを描く物語になぞらえるように、あてもなく川から身を投げて命を絶ってしまうのです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-20 22:00:00
2060文字
会話率:0%
かつて人々を慈悲深い魔力で救った大魔導士アールヴェルトは、最愛の者を失った痛みから禁断の闇へ踏み込み、死の世界を完成させようとする。王国騎士団長ライオネルと元弟子イシュラン、そして教会の高位聖職者セレスティアは、それぞれの信念を胸に彼を止め
ようと奮闘するが、アンデッドの軍勢と呪われた瘴気は大陸を蝕み、理性を砕かれた魂たちは絶望の行進へ呑まれていく。やがて国を覆う闇の中、アールヴェルトの悲願と狂気が明らかになり、生ある者は次々と死へ堕ち、世界に救いの光は見いだせなくなっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-12 02:09:25
21094文字
会話率:12%