「滝本耕一」 手記
曖昧なもの。
それは、人の優しさや気持ちの変化じゃない。
一番曖昧なのは、人の記憶だ。
時間が経つにつれ自分勝手に美化したり、都合のいいように書き換えてしまう。
今ある記憶が正しい事実だったと自信を持って言えるか。
記憶は自分だけのもの。誰にも覗かれない、唯一の管理者は自分なんだ。
だが、もしその記憶を失った時…
人はどうすればいい。
自分が自分じゃない。信じれるものもない。
そう、今の俺のように。
見たこともない部屋で目覚め、見たことのない自分の容姿に驚き、息が止まりそうになった。
味気のない部屋に唯一置かれていたものがある。
「厚生衛生省 国家精神衛生課」 という聞いたこともない行政機関に用意されていた書類だ。
その書類には【記憶を抹消し、第二の人生を送る】ことが記されていた。
なぜ自分は記憶を無くしてしまったのか。
なぜ第二の人生を送ることになったのか?
国家精神衛生課とは一体…
俺は、知らぬ間にこぼれ落ちた記憶を取り戻せるのだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-12 10:17:18
83019文字
会話率:37%
翌年に日華事変がはじまるとは、誰も想像もつかなかった昭和11年は、戦前最後の平和な年であった。その年の五月、県下有数の名門校である浜松一中では、恒例の大運動会が開催された。校長はのちにサッカー王国静岡の礎を築いた錦織兵三郎であった。名校長と
して生徒や教職員からも深く慕われていた。
運動会が終了すると、全生徒や教職員に紅白の大福もちが土産として配られた。製作した菓子司は浜松で有名な人気店であった。ところが翌日から、その大福もちを口にした生徒や、浜松に駐屯する兵士の間で、食中毒の症状が現れる。市当局の必死の調査にもかかわらず、食中毒の原因や病名が分からない。県や内務省の名立たる研究者や衛生技師が調査に当たるも、感染経路や原因は不明のままである。二日目になると、生徒たちやその家族から、続々と死者が報告される。浜松市内は恐怖のためにパニック状態となり、医師会や看護協会が巡回診療を始めるも、統一した組織を作ることができず、行き当たりばったりの施策は、ますます混乱を深めていった。
一方で、陸軍軍医学校防疫教室の石井四郎軍医正を中心としたグループは、事件発生当初から、サルモネラ菌(当時の言い方ではゲルトネル氏菌)による集団食中毒事件と判断し、早め早めに感染拡大阻止と、患者治療にあたっていた。そのために軍人の患者からは一人の死者も出すことなく、また二次感染も起こることなく収束していった。それに反して民間では、名古屋帝大法医学の教授が解剖を行うも原因が判明できず、食中毒説、薬物中毒説、果ては人為的な毒物混入説まで現れ、恐怖と不信感は浜松全体に及び、当局の対応が後手後手に回ったことにより、二次感染、三次感染と犠牲者は増加する一方であった。
最終的に、陸軍の提供した血清によって、この大惨事がサルモネラ菌による食中毒ということが立証されたが、市民の間には行政機関に対する不信感が深かった。患者総数二千人以上、死者四十四名を数えた浜松毒大福事件は、こうして六月近くになって、ようやく終息したのであった。
この作品は重複作品です。本文は小荷田歯科医院のホームページにあります。http://www011.upp.so-net.ne.jp/konita/kouhakunosaturikusha.pdf折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-09 16:39:50
44705文字
会話率:2%
厳戒な対外封鎖によって長らく外の世界との交流が途絶えた中央都市、
通称"央都"では近年 台頭し始めた宗教団体の"教会"が都市の中枢に根付き、
教皇主導の統治が目立つようになった。そんな中、行政機関であ
る中央議会は
央都領有の辺境に位置するアースリーと呼ばれる一帯に
新たな施設を建設した。その公開に伴って
開国する央都に黒衣の少女が降り立った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-06 18:07:40
195313文字
会話率:20%
---- 時は2013年 舞台は日本 ーーーー
2003年…大紛争により日本の人口は半分に減り、行政機関はほぼ壊滅状態、日本は無法地帯と化した。
2006年…大紛争終戦と共に人々が武器を持ち、各地で争いが起こり人々は力の限り傷つけあっ
た。
そして無法地帯と化したこの日本で、また新たに”天下統一”を目指す者たちが現れる!!
7年の月日が経ち2013年…
力でのし上がってきた全国の強者たちによる政権の奪い合いが始まる……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-02-27 23:11:03
4256文字
会話率:28%
人類の3割が魔法を使えると言われる世界。魔法高校2年生の大地と華奈は、「門」に関する事件に巻き込まれる。事件の中で出会った魔法を扱う行政機関(通称「魔断」)の職員である竜之介に魔断の職業体験に参加する事を勧められ、級友の循、夢神子らと共に参
加することに。しかし、彼らの受け入れ先は、存在しないはずの部署で……。世界を巻き込む戦いの幕が、今上がる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-08 01:18:44
9605文字
会話率:50%
南海高校2年の月姫雄大(つきひめゆうだい)と1年の篠ノ女悠里(しののめゆうり)はどこにでもいる普通の高校生だ。
身寄りのない2人は学生寮《コトブキ寮》で暮らし、他の似た境遇を持つ学生達と共に学生生活を謳歌している。
だが、その実態は幽
霊退治を行う非営利団体の活動拠点であった。
幽霊が見える《ナビゲータ》と幽霊を退治できる《ハント》の2人1組に分かれて、この世に未練を残す幽霊が造る《ホール》に夜な夜な繰り出し、活動を行っている。
この世とあの世の狭間で《ホール》を形成する幽霊はたびたび人間界で危害を加えることもあり
溜まっていく《ホール》は人為的に圧力を加えなければなかなか消滅しないのが現状だ。
また、幽霊退治を強行する行政機関《騎士団》とは、領域、利益配分で衝突することがあり、月姫達と《騎士団》達は互いに互いを嫌うようになる。
だが、《騎士団》が特に月姫達を嫌っている理由は、2人1組でしか活動が行えないその欠陥性にあった。
月姫は幽霊が見える《ナビゲータ》、篠ノ女は幽霊を退治できる《ハント》。
両者が欠けている能力を補うことで初めて《ホール》で活動を行えるのだ。
そして、その2つの能力を先天的に持ち合わせたエリート集団の《騎士団》は彼らを欠陥者として嘲り見下す。
これは、対立する《騎士団》と幽霊退治という目的を共有しながらも対立を繰り返す、月姫雄大と篠ノ女悠里の成長物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-05-27 01:08:47
6057文字
会話率:40%
25世紀末、世界の行政機関の機能が停止した。
川は干上がり、緑は枯れ、人間は現在の1割以下。
サバイバーたちは生き残るために旅を続けていた。
最終更新:2011-04-16 17:17:59
5081文字
会話率:14%