─この世で一番、近くにいるものって何?
煎餅布団からずいと煙草に手を伸ばして透はいう。
─おれは、水かな。
ようやく手首へのキスをやめた透は、空気はちょっと存在感ないしね、と続ける。風呂に入ると俺、ゆっくり沈むの。まずは足から。そして胴。
じわじわと体を水が取り囲むんだ。ようやく肩まで浸かると、ぶくぶくと潜るの。で、息をとめて。ゆっくりと鼻に耳に侵食する水を感じるんだ。肺に空気がなくなって血がのぼりつめた時、名残惜しいながら俺はようやく顔を上げる。肺に息が戻るときのあの「生」の感じ。あの焦ったギリギリの生のかんじ。
※10年くらいPCに眠ってたやつを投稿してみました。淡々としてます折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-18 21:09:42
9181文字
会話率:0%
魔力飽和という病を抱えていた所為でぶくぶくと膨らんだ身体を持ち、根暗な半面夢見る乙女思考だった公爵令嬢。彼女は、死んだ。そしてまだ幼かった頃の自分に再び蘇った。彼女は誓う、かつて自分を嘲笑った者達を見返したい。そして今度こそ、平穏な人生を…
………ところで『平穏』って何でしたっけ?と首を傾げたくなるお話。※H27.9.3完結致しました。番外編の予定はありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-03 19:49:16
153970文字
会話率:32%
「いったいそりゃいつの話だい。確かに昔は、お客さんが言うとおりの美しい都を誇る国だったよ。だけどそれも、俺達が愚かだったせいで全部失ってしまった。百貫姫と一緒にな」
痩せて、顔色も悪い店主は、疲れに耐えかねたように傍らの椅子に腰を落とす。
「なんだい、詳しく聞きたいってか? 仕方ねぇな。愉快な話って訳じゃないが、足りない飯の代わりに教えてやるよ。昔、この国には百貫姫と呼ばれるお姫様がいたのさ」
目方にして百貫、ぶくぶくと肥え太ったみっともないお姫さま。夢のように美しい都にある、ピカピカに磨かれた城。痩せて貧しい小国の王子さま。
それぞれを語る、とある大陸の三つのお伽噺。
アルファポリス第6回絵本童話大賞最終候補作。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-02-08 12:07:50
14668文字
会話率:12%
不幸というのは突然降り掛かってくるものでございます。いまからわたくしがお話しする物語は荒唐無稽かついわれのないものでございますが、突然不幸が降り掛かってくるという点でだけはまごうことのないこととご理解くださいませ。ある晩、男が犬をひいたので
ございます。ですが、死体がないのです。いや、頭部だけが出てきました。様子を見るため降りた後、戻った車の運転席に。ひいいいいいい。恐ろしゅうございます、恐ろしゅうございます。それからの話は定かではないのですが、男はその日を境に太っていったらしいのです。ぶくぶく、ぶくぶくと——。もしかしたら、不幸はある日突然降ってわくばかりではないのかもしれません。※短い作品です(瀬川潮ふらっと名義で別のサイトに発表したことのある作品の転載)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-11-22 10:01:15
704文字
会話率:12%
今から、千年前に『冒涜の魔女』と呼ばれる不死の老魔術師が一人居た。その不死性故に時の権力者から狙われ続けていた彼女。
そんな彼女はとある事情から自らの不死の命と引き換えに魔王が召喚した堕龍を滅ぼした。
――そして時は現代に戻る。
千年前とは
違い魔法から科学へと技術の軸を映した人類。
東暦2001年、新たな世紀の始まりを人々が祝福する中、大和帝国の霊峰、不死山。
そこにて、世界から消え去った一人の女の鼓動が再び動き始めた事に気がつく者はまだ誰もいなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-02-13 20:04:57
9806文字
会話率:9%
親友夫妻の死によって孤児になった子を引き取った義理の父親、西條雄一。
そんな彼は美しく育ち慕ってくる娘、咲耶に対して自分が許されざる欲を持ち始めているのを理解していた。
彼は自分を嫌悪し必死に押さえつける。
そんな彼を慕う娘もまた、自らを嫌
悪していたのだ。
自分が「狂人」である事を理解していた。
これは父親と男という二つの感情に苦しむ父と自らの狂気を嫌悪しているヤンデレファザコン娘の恋愛話である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-01-13 22:46:17
23027文字
会話率:23%
無明神社に住んでいる人食い銀髪。ある日、ぶくぶくに着ぶくれした着物姿の少女がお参りに訪れる。
さっそくおどろかしてやろうと思ったら……
最終更新:2011-11-02 00:52:56
9585文字
会話率:38%