侯爵夫人ミレイナ・エルフォードは、階段から転落し――すべての記憶を失った。
目覚めた先にいたのは、冷たい目をした夫ユリウスと、怯える使用人たち。
どうやら彼女は、仲睦まじい婚約者同士を引き裂き、ユリウスを無理やり自分の夫に据えた“悪女”だ
ったらしい。
執着、嫉妬、策略――誰からも嫌われ、恐れられていた過去。
けれど今の彼女には、その記憶も、理由さえも分からない。
罪悪感に苛まれたミレイナは、夫に離婚を申し出る。
すると、ユリウスは静かに、怒りを滲ませて告げた。
「……は? 離婚? 君がそれを言うのか?
俺を地獄に引きずり込んでおいて? ――そんなの、絶対に許さない」
記憶を失った“元・悪女”と、彼女を許せない夫。
歪んだ関係の果てに待つ未来とは――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 18:09:37
50012文字
会話率:19%
むせ返るような血の匂いだった。
ユリアは吐き気をこらえて進んだ。王を諫めなくてはならなかった。
それができるのはユリアだけだった。ほかの者が諫言すれば、文字通り首が飛ぶ。王に逆らって命があるのは、王妃であるユリアただ一人だ。それは、王宮内で
はすでに知られた事実だった。
(そんなものが、ほしかったわけではないのに)
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※最初から最後まで相思相愛ですが、ヒーローは最終的に闇堕ちします。ヒロインはヒーローを愛するがゆえの苦悩エンドです。メリバ、もしくは箱庭エンド。若干のスプラッタ描写があります。 全5話予定。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-11 20:50:13
32073文字
会話率:15%