それは、人間が「記録される側」になる物語。
過去と未来、記録と観測、共鳴と断絶。 戦争、事故、SNS、恋、霊、技術、そして“名もなき誰か”の未完の思い。 世界の裏側で静かに連鎖する出来事を、誰も観測しなかった。 それでもなお、その“波形”
は静かに記録され続けていた――300年の間。
玲という観測者は、意図せずその記録を“再生”してしまう。 消えた感情、忘れ去られた言葉、名も知らぬ誰かの対話。 それらは全て、「観測されたとき」にだけ“物語”として存在する。
――これは、記録されることを待っていた者たちの、最後の共鳴である。
・対話劇形式(形式美×会話だけの空間) ・視点移動あり(玲/教授/過去の誰か) ・人間と記録、感情とエビデンスの境界を扱う ・難解に見せかけて、じつは誰かにとっての“あなたの話”
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 21:57:42
10376文字
会話率:60%
——魂が観測されぬ時、人は存在しない——
——存在しなかった者の魂が、世界に反旗を翻す——
舞台は遠未来の惑星《刃星(じんせい)》。
量子力学と宗教が融合した世界観のもと、
「他者から観測されること」が存在証明となる社会——
量子武士道
が支配する宇宙世紀の時代。
この世界では、魂の位置すらも観測によって定められ、
観測されぬ者は「いなかったもの」として消されてゆく。
神夜 凪(かぐや・なぎ)はかつて量子武士道の天才観測技師であった。
彼の妹・ナギサは、生まれつき観測干渉が希薄な存在。
誰の記憶にも残らず、魂すら記録されないまま、この世界から消えようとしていた。
妹の存在を“この世界に刻む”ため、
凪は禁忌の技術「魂導(こんどう)」を用い、
魂を巨大戦闘機体《サムライド》に融合させる計画を立ち上げる。
その機体の名は、《哭武(こくぶ)》
だが、魂導の実験は失敗に終わる。
ナギサの魂は観測断絶を起こし、世界から完全に消失。
彼女は“いなかった者”となり、凪は“咎人(とがびと)”として追放される。
世界に記録されなかった魂
ナギサの残響を宿した哭武は、やがて“意志”を持ち始め、
凪とともに量子武士道に牙を剥く。
一方、刃星では秩序を揺るがす新たな異端集団《情報解体派》が出現。
「記録」そのものを破壊し、世界の意味を否定する存在である。
凪と哭武は、ナギサの魂の行方を追いながら、
量子観測社会の根幹にある“存在”という概念と対峙する。
最終決戦の地《原点観測層》にて、
凪は究極の問いを突きつけられる。
——お前は“すべてを記録する者”となるのか——
——それとも、“誰にも記されない者”となるのか——
そして最後の一撃を放つのは
「観測されなかった者」だけである。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-06-28 19:22:30
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会話率:26%