もしも。
自分が『異世界転生して無双する主人公(チートする側)』ではなく、『生活圏を蹂躙される側(チートされる側)』だったら――?
突然やってくる理不尽はどんなに腹立たしくても、避けることはできない。
受け入れるしかない。
なぜなら、
一つ上の階層から来た人間たちは、一つ下の階層の存在を『当たり前』のように、蹴散らすからだ。それはあたかも、ロールプレイングゲームでレベル上げのモンスター狩りのように『無慈悲』に行われる。
狩られる側が、無双状態の最強の存在に打ち勝つためにはどうすればいいのか。
簡単だ。
手段を選ばなければいい。
* * * * *
とある村の少年ユーリィは、将来有望な兵士候補だ。このまま頑張れば、王都リーバイン城の近衛騎士団試験にも受かるかもしれない。それは村の中でも一番の出世頭だ。試験に受かって高い給金をもらって、清楚可憐な幼馴染のシャルと、青春を謳歌し幸せに暮らす。
しかし、そんな彼の村が、突然辺り一面が火の海と化す。
自分の生まれ故郷が、燃えている! ユーリィが剣の鍛錬から急いで村に戻ると、その元凶と会敵した。
謎の『影』だった。彼は理解する。こいつが僕の家族を殺したと。
ユーリィは『影』に襲い掛かるも、奇妙で圧倒的な力の前に、まったく歯が立たない。
のちにわかることだが、この『影』たちは、『現代日本』という異世界から最強スペックボーナスを得て転生してきた無敵の存在だった。
どうにか九死に一生を得たユーリィは、謎の影を倒すために決意する。
この世界の深淵に潜む、闇の神の力を借りることを。
彼が闇の神から得たのは、『不老不死』。何度死んでも蘇る力。
仇敵は、勇者と名乗る。
なら僕は、魔王と名乗ろう。
幼馴染のシャル、そして道中で明らかになる『新たなヒロイン』。ユーリィは仲間を増やしながら勇者打倒へ邁進する。
ここに、復讐に燃える闇の王と、異世界から来たチートの王の対決が始まる。
★この物語は『理不尽な悲劇』に見舞われた少年が、すべてのものを犠牲にして、『異世界転生してきた最強の少年』=チート側に復讐を果たすまでを描きます。
★挿絵を描いてくださっているイラストレーターは、abecさんです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-19 18:00:00
153580文字
会話率:36%