(読んだ人の人生がいとおしくなるような作品が書きたくて、始めました)
主人公、山田陽翔(やまだアキト)は消えたがっていた。彼の現実にはろくな思い出がなく、良い思い出はすべてマンガやフィクションの中にあった。
妄想の中に理想の恋人を作り
、何か辛いことがあると彼女に「好きだよ」と慰めてもらい、そんな風に生き続けていつの間にか2050年、彼は何もできない子供のような老人になっていた。
妄想に生きる人生に疲れ、この世から逃げたがっていたある日、彼は新型VR装置のモニターの仕事をすることになる。
リアルな仮想空間でアキトは理想の恋人に出会う。彼女は自分のすべてを肯定し、愛してくれる。しかし理想の筈の相手にはどうしても我慢の出来ない問題があった。
やり直しを繰り返すうち、アキトは禁断の領域に踏み込んでしまう。自分の世界から落下し、彼は見知らぬ世界に入り込んでしまう。
死にかかっていたところを助けてくれたのは、昔風の生活をする温かい兄妹だった。その世界には魔物がいて、精霊がいた。不思議な世界でアキトは妹の山菜採りの手伝いをするようになる。彼女は理想の恋人に似ていた。
平和で穏やかな日々が続いて行く。自分は死んで、異世界の現実に転移してしまったのではないかとアキトは思い込む。しかし現実世界では、意識の戻って来なくなった彼は病院に運ばれていた。VR装置の電源を切られた時、異世界からアキトともう一人を除いて人間が消え失せる。
二人でさ迷ううち、アキトはようやく気づく。そこはそのもう一人が見ている『他人の夢の中』という異世界だった。
『他人』を知り、助けようともがき、アキトは現実世界へ戻ろうと努力し始める。何もないと諦めていた老人の人生が、変わって行く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-27 18:24:23
104700文字
会話率:42%
大学内でも外でも、みんなが噂している。猫ノ宮さとみのことを。誰も見ていないところで巨大化して、町を破壊しているあの大怪獣の正体は、彼女なのだと。
僕はそんな彼女と付き合っている。見慣れた筈の今改めて見ても目を疑うほどの美人なのに、言い
方は悪いけど競争率ゼロ倍の彼女は美味しかった。そのうち彼女のことをよく知って、本気で好きになって行った。
同時に僕も彼女のことを本当に大怪獣ではないのかと疑うようになる。みんなと違ってあんな噂、最初は信じてなんかいなかったが……
孤独で潔癖と寛容を併せ持つ美人の彼女と平凡な僕の、愛と闘いの物語──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-09 07:00:00
15504文字
会話率:32%