「フミや、お前も私を置いて先に逝くのか?」
尻尾のない年老いた黒猫のクロマルは飼い主フミの最期を看取った。これで何度目の別れだろう、いつもクロマルは飼い主に取り残されていく。実はクロマルは気付いていないがすでに200年以上生きている無自覚
の妖怪「猫又」だったのだ。
ただ今回はいつもと違った。いつも別れの後は放逐されるか追い出されるので、次の飼い主を探すまでは野良になるしかなかった、だけど今回はフミの娘の久美子の家に行く事が決まっていた。新しい飼い主家族に今まで通りのクロマルという名前でいられる、全てはフミの遺言のおかげだ。
クロマルは新天地で新しい家族に囲まれて幸せで平穏な日々を送る事となる。
だがある日の夜、自分を訪ねて来たのか分からないが、成仏できないで漂っているフミの姿を見つける。その姿を不憫に思い、優しくされた恩を返したいと思いクロマルは動き出す。
*胸糞要素は保険です。
*全3話構成の短い小説です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-04 18:02:03
14885文字
会話率:51%