二〇五八年二月、太平洋の西端にある超大国の首都が戦火に見舞われた。正規軍同士による内戦という惨事に首都圏の防衛力と、多くの人命をうしなうことになった。まるで結末が既に決定していたかのように推移していた事件。それは五十年前のあの夏の日から続い
ていたかのようであった。
自衛隊のクーデターによって変革した日本連邦。経済的に軍事的に超大国となった近未来に一人の兵士が歴史の表舞台に登場する。幾年にも亘る執念と幾人もの願いを背負わされた一人の若者と、彼と出逢い別れていった者たちの胸に秘められたものとは。
集団的自衛権などの言葉だけが独り歩きするなか、本当に意義のある戦争とは何かを模索する、登場人物の証言録の体裁をとったシミュレーション小説。
《注意事項》登場人物や場面のリアリティを確保するために、残酷な表現、差別的な表現は敢えてしている場合があります。ご了承ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-10 23:00:00
276857文字
会話率:37%