静寂の王宮、謁見の間。
『黒曜』と呼ばれた魔女は、その階の上に王を見仰ぎ、静かに問う。
「紅き王座を、そこまでして望む意味は?」
辺境の魔女、黒曜。彼女は嘗て、国の神殿に『聖女』として幽閉されかけた経験を持つ魔女の末席だった。
とある変
人の遺志を継ぎ、魔女として生きた日々。それを終えるべく――とうとうその重い腰を上げた彼女は、静寂の王宮でかつての幼子――現在は『覇王』と称される青年との邂逅を果たす。
「外見が変わらないのは、魔の血の影響に依ります。……とりあえず、重いので退いてもらえませんか?」
「それは駄目。魔女を安易に離すなんて、それこそ愚者のする行為だから」
これは二人の魔女と、地を統べる覇王、それに巻き込まれた第三者(魔術師)を巡る一連の騒動と、過去譚、『彼女』の死の顛末を描いた物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-02 20:12:00
24258文字
会話率:35%