私はその人を常に先生と呼んでいた。私にとってその人は私の生涯唯一の先生であり続ける。今日も明日も、ずっと、ずっと。この先私が何人の『先生』に会おうとも。私の先生は先生だけだ。
先生はまるで世間に名の知られたような人間ではなかった。『先生
』と呼ばれる、例えば政治家だとか教師だとか小説家だとか医者だとか、そう言った職業についているわけでもなければ、この近代合理主義の時代に合って世間から記憶されるほどのことを為したわけでも決してなかった。
それでも私はあの人のことを思い浮かべる度に「先生」と叫びたくなる。よそよそしい頭文字を使う気には決してなれない。
ずっとずっと先生は私だけの先生だ。
なあんて。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-25 18:49:47
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