天才外科医・椙山六郎の前に現れたのは、自らの四肢に強い違和感を覚える美しき患者・厚岸雛子だった。彼女の切実な願いに、六郎は医療倫理と法律の壁を前に苦悩する。しかし、雛子の魂の叫びに触れた六郎は、ついに禁断の手術を決意する。
社会の常識
を覆す二人の選択は、医療界に激震を巻き起こす。失われた名声、迫り来る法の裁き。それでも、二人の絆は深まっていく。
果たして、この愛の形は正しいのか?社会は彼らを受け入れるのか?
医療の限界と人間の欲望が交錯する中、六郎と雛子の運命の行方とは――。
愛と倫理のグレーゾーンを鋭く描き出す、衝撃の医療ラブストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-16 19:00:00
21446文字
会話率:40%
時代は進んだ。思ったほどSFな世界はやって来なかった。
騒ぎまくった専門家を裏切って、地球温暖化の進行は大した事がなかった。地球は人類が考えるよりずっと強い生き物だった。
他の惑星に引っ越す事もなく、人間は未だ地球にしがみついている。
か
つての首都東京は超巨大台風の猛威に落ちた。その時、政府は首都を奈良へ遷した。
それが僕の生まれた頃の事。
大手自動車メーカーが空を走る車を開発、発表した。だが、法律の壁に阻まれて実用化、販売はされず、結局車は道路をタイヤで走っている。
それが10年前。
家庭用ホログラム型モニター開発。映画の中の話だった代物が急激に普及した。
それが6年前。
そう、人類は技術分野においては、確かに目覚ましい進歩を遂げた。
崩壊した東京がどうなったかと言えば、その後勿論、復興した。しかし遷都により、人口は確実に減った。
地価は暴落。ドーナツ化現象とはなんだったのかと、東京のど真ん中に建売団地が乱立した。
今や台風前のビル群と台風後の住宅地が同居する、そんなアンバランスな都市が東京だった。
科学技術が発展した時代。その果てに合ったのは無神だった。
日本人の深層心理にあった深い深い土着的な宗教感すら、失われてしまった。神を畏れ、悟りを志す僧侶に敬意を払う。神の前で婚姻を近い、仏の前であの世への旅路に立つ。それは当たり前すぎて誰も気付かなかった深い信仰心だった。
一見、無神論に見えた日本人という人種は、深すぎる信仰心ゆえに表面的にそう見えていただけだった。かつては。
それが本当の無神論になったのはいつからだろう。技術を得ると共に、人は少しずつ、神を仏を生を死を、捨てていった。
神を畏れないという事の弊害は意外な形で現れた。犯罪の増加である。
罰当たり、という感覚を失った人々は善悪の区別を曖昧にし始めた。所詮、法律など人の心にその程度の存在だったのだ。
神には、叶わなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-27 02:39:15
26715文字
会話率:60%
地球には、「星を独占化してはいけない」という法律が、そもそもなかった。それをいいことに、一企業が星々を次々と登記していってしまった。おかげて、夜空からすっかり星が消えて無くなった。
最終更新:2014-11-22 00:05:51
1354文字
会話率:25%