「く、櫛崎(くしざき)さん、おはよう!」
「…………」
「嗚呼櫛崎さん、今日もお肌がスベスベで見蕩れちゃうわ!」
「…………」
氷の女王こと櫛崎さんは、今日も男女問わずクラスの人気者だ。
辞書の『傾国の美女』の欄に載っててもおかしくな
いくらいの絶対的な美貌を持っている櫛崎さんなので、さもありなんといったところではあるが。
だが櫛崎さんはそんなクラスメイトたちに対して、いつも通り無表情のガンスルーを決め込んでいる。
にもかかわらずみんな「櫛崎さんはそうでなくっちゃ!」とか「嗚呼、櫛崎さんの射抜くような冷たい瞳、素敵……」と、恍惚とした表情を浮かべている。
うちのクラスにはドMしかいないのだろうか?
まあ、俺は至ってノーマルなので、冷たく無視されるとわかっていて挨拶をする気概はない。
なので隣の席に座った櫛崎さんのことも、一瞥するだけですぐスマホに目線を戻した。
――が、
「…………」
「――!?」
何故かそんな俺のことを、今日も櫛崎さんは無言でギロリと睨みつけてきたのである。
またオレ何かやっちゃいました??
てなことがあった週末の日曜日。
妹のみちるに半ば無理矢理買い物に付き合わされ、二人で街中を歩いていると、偶然櫛崎さんと出くわした俺たち。
が、何故か櫛崎さんは俺たち二人を見て、絶望にまみれたような顔をし……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-28 21:09:22
6294文字
会話率:50%