陽翔(はると)は、子供の時から、父の前ではいつも緊張していた。呼ばれなければ自分から近づいて行くことはなかったし一緒に泣いたり笑ったりした記憶もない。父には冗談の一つも言ったことがなかった。一番古い記憶の始まりから存在するその絶対的な距離は
、陽翔が大人になり、2年前、父が突然亡くなるまで縮まることはなかった。心の奥底に、普段は自分でも忘れてしまうほどの少しの寂しさを密かに抱えたままではあったが、その寂しさの裏返しである世界への希望に支えられて、陽翔は、概ね健全な、少なくとも、傍から見ればそう見えていたであろう28歳の青年になっていた。陽翔は、同じ会社に1年後輩として入社してきた美鈴(みすず)と恋をして結婚した。彼女との暮らしに幸せを感じてはいたが、自分の子供を持つということについては、父との関係の記憶が、陽翔にそれを躊躇させていた。自分に子供ができるということを明確に拒否する確固たる哲学が自分の中にあったのかというと、そういうわけでもなかったが、少なくとも、結婚する前の自分の人生の中で、自分の死んだ後の世界に、自分の遺伝子をこの世界に残したいと切実に望む気持ちを陽翔は感じたことはなかった。結婚してから、3回目の正月、1枚の年賀状にプリントされていた写真とそれに添えれられた一言がそんな陽翔の心を動かした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-22 07:35:16
17799文字
会話率:38%
ちょっぴり変態な旦那さんとクールな奥さんがシュールなプレイをする話。旦那さんの希望はまず叶わない。
不定期更新と言いますか、思いついたら更新となります。
最終更新:2016-09-21 01:37:20
1080文字
会話率:25%
幼い頃から、トト○、トロル、邪神と呼ばれた、ちょっと特徴的な外見の少年、伊調守。
彼はその外見から色々損をするような人生を送っていたが、概ね健全に暮らしていた。
だがそんな高校一年生の夏休み。
Tボーンステーキを食べていた守は、突如異世界に
召喚されてしまう。
待っていたのは金髪の美少女で、守を我らが神、なんて呼ぶ。
すべての世界と時間に存在するおじいちゃんや、敵対する神様や転生者。
そして割りとフリーに現実と異世界を行き来できるお手軽感。
守と美少女たちの、現実と異世界を股にかけた、そこそこエキサイトな夏休みが始まる。
割としっかりクトゥルフ神話ものです。
ですけど、知らなくても大丈夫です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-11-05 15:42:06
88786文字
会話率:34%