『ローラは私のものを奪ってばかり――もう私のものはすべてローラに譲ります。ここに私の居場所はない。どうか探さないでください』
ある日そう書かれた手紙を置いて義姉クリスティーナは消えた。
高い魔力を持ち、聖女となった義姉は王太子レガート
殿下の婚約者となり、その立場から学院でも生徒会副会長を務めていた。
一見して清廉で有能、真面目に見える義姉。何も知らない人が手紙を読めば、元平民でふわふわにこにこのお花畑に見える私ローラがすべて奪ったのだと文字通りに受け止めるだろう。
だが実情は違う。『真面目』が必ずしも人々に恩恵を与えるものではなく、かつ、義姉のは真面目というよりも別の言葉のほうが正確に言い表せる。
だから。
国の守りを固めていた聖女がいなくなり、次期王太子妃がいなくなり、生徒会副会長がいなくなれば騒然となる――はずであるが、そうはならなかった。
義姉の本性をわかっていて備えないわけがないのだ。
この国は姉がいなくても揺らぐことなどない。
――こんなはずじゃなかった? いえいえ。当然の帰結ですわ、お義姉様。
あとはレガート殿下の婚約者だけれど、そこは私に手伝えることはない。
だから役割を終えたら平民に戻ろうと思っていたのに、レガート殿下は私よりもさらに万全に準備を整えていたようで――
私が王太子の婚約者?
いやいやそれはさすがに元平民には荷が重い。
しかし義姉がやらかした手前断ることもできず、王太子なのに鍛えすぎなレガート殿下は武骨ながらもやさしい寵愛を私に注いでくるように。
さらには母の形見の指輪をはめてからというもの、やけにリアルな夢を見るようになり、そこで会う殿下は野獣み溢れるほどに溺愛してくる。
武骨ってなんぞ?
甘すぎて耐えられる気がしないんですけど。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-25 21:24:03
104994文字
会話率:35%
「お前のような無能聖女はいらん。俺は神に選ばれし真の聖女を見つけたのだ。よって、貴様との婚約を破棄する」
王太子オディールに婚約破棄を告げられ、無能聖女という不名誉な称号を与えられたジニア。
本当に有能なのは自分だし、真の聖女という王太
子の浮気相手が本当は大嘘つきの尻軽女だということをジニアは知っている。しかし彼女は大して言い返すことなく婚約破棄を受け入れた。
「哀れな王太子様と嘘つき聖女様は勝手に破滅なさってください」
そして貧素な馬車に乗り、生まれ育った静かな農村へと戻った。
長年ひそかに恋心を寄せていた、幼馴染のクランに会いに行くために――。
※タイトルに反し、微ざまぁありなのでご注意。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-09 17:00:00
3800文字
会話率:31%