悲運な女性の断末魔を描いた物語です。
はるか未来の、宇宙の彼方を舞台としていますが、独裁的領主が支配者として君臨する、封建的な世相を背景とします。
とある星団帝国の名門領主という高貴な生まれであったその女性が、裕福な暮らしと幸福な日
々の先に陥った、ブラックホールにのみ込まれるという壮絶な最期。
15個もの星系を領有し、財力も声望も文句なしといえる名家の棟梁の妻であったのに、一族は滅亡し、愛娘は凌辱の末に惨殺され、夫の身体は4つにちぎれ飛び、自身も激烈な引力から逃れられなくなり、生存は絶望的となります。何もできず、ただ死を待つのみとなってしまったのです。
その悲運の引き金になったのは、手塩にかけ愛情を注いできたはずの、領民たちがまき起こした反乱でした。
善良な知行によって信頼関係を築き、慕われ親しまれてきたはずなのに、こんなにも残酷な裏切りで報いられてしまったのです。
なぜ・・・なぜ・・・、と女性は問いかけます。不可避となった死への絶望の中で、一心不乱に考えをめぐらせます。それしかできないのです。
ブラックホールの強大な重力によって、驚異的なまでに引き伸ばされた時間の中で、女性の問いはいつまでもどこまでも続くこととなります。
そして長い長い問いかけの果ての結末として、彼女は、生涯で最大の悲劇に遭遇します。娘の惨殺より、夫の身体の四散より、自分の死が不可避なことより、もっと壮絶な悲劇に・・・
銀河戦國史シリーズの一つとして描いた作品です。
地球を飛び出し宇宙に進出した人類が、直径10万光年にも及ぶ銀河系円盤のいたるところに生息場所を広げ、離合集散や栄枯盛衰を際限もなく繰り返した果てに、全銀河全人類を含んだ統一政体のもとで恒久平和を実現するに至ります。
そんな人類の描き出した、大樹の枝の経脈を彷彿させる1万年の足跡を記したものが、銀河戦國史シリーズです。10万光年の空間と1万年の時間を舞台とした全人類史が、シリーズの全景です。
1万年後の、恒久平和実現後の銀河系に暮らすエリス少年が歴史に触れる場面から、物語は始まります。プロローグにおいて、少年が「銀河戦國史」に思いをはせる場面が描かれ、それに続いて、本編としての上記表題の物語を描き始める、という構成になっています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-15 17:00:00
33138文字
会話率:3%
地球を飛び出し、銀河系のいたるところに拡散して生息域を広げ、離合集散・栄枯盛衰・切磋琢磨を繰り返した末に、全銀河・全人類を包含した統一政体のもと、恒久平和を実現するに至った人類の、一万年にも及ぶ、大樹のごとき歩みの経脈。それが、銀河戦國史
です。
その大樹よりこぼれ落ちた一葉の物語が、エリス少年のもとに舞い込むのです。彼は、恒久平和実現後の銀河系で暮らす、歴史好きの少年です。今日も彼は、一葉の物語に乗って、遥かなる歴史の探索に乗り出すでしょう。
さあ!あなたも、銀河系を股にかけた全人類史という壮大な歴史叙事詩の1ページを、エリス少年と一緒に垣間見るべく、遥かなる時空へと旅立とうではありませんか!
今回、エリス少年のもとに舞い込んだ物語は、銀河史中世のものです。仕事が減り、すっかりヒマになってしまった仕事場なのに、無くしてしまうわけにもいかないということで、後継者に指名されてしまった男が主人公です。
某星団帝国の片隅にある人工惑星で、リング状宙空建造物でもあるそれの中の一角で、新政権誕生によって激減した皇帝への献上品の、品質を検査するという閑職を主人公は受け継がなければなりません。
現担当者であるヤンベン老人の温厚な人柄、ヒマでありながらも覚えるべきことの多さと複雑さ、にもかかわらずそれらの大半は今後不要になるかもしれなという現実、聞く側が飽きても尽きることのない老人の思い出話、優柔不断で一貫性のない新政権の態度、そんな状況の中での主人公の喜怒哀楽が、星団帝国の壮大な歴史の一幕として描かれます。
未来の宇宙が舞台なのに、色んな時代の雰囲気をごちゃまぜにしたような世界観で繰り広げられる、主人公の作業習得に向けての苦労端を、そっと見守ってあげてください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-12 17:00:00
36415文字
会話率:31%
地球を飛び出し、銀河系のいたるところに拡散して生息域を広げ、離合集散・栄枯盛衰・切磋琢磨を繰り返した末に、全銀河・全人類を包含した統一政体のもと、恒久平和を実現するに至った人類の、一万年にも及ぶ、大樹のごとき歩みの経脈-それが、銀河戦国史
です。
その大樹よりこぼれ落ちた一葉の物語が、今日もエリス少年のもとに舞い込むのです。彼は、恒久平和実現後の銀河系で暮らす、歴史好きの少年です。今日も彼は、一葉の物語に乗って、遥かなる歴史の探索に乗り出すでしょう。
さあ!あなたも、銀河系を股にかけた全人類史という壮大な歴史叙事詩の1ページを、エリス少年と一緒に垣間見ようではありませんか!
今回エリス少年のもとに舞い込む物語は、銀河史中世初頭を舞台とするものです。銀河連邦と一定の交流はありながらも、その本部と遠く隔たり往来が困難である事から、連邦による支援や規制が行き届かず、不公正で不安定な統治状態にある星団帝国「グレイガルディア」における、内乱の模様が描かれます。
皇帝親政を望む勢力と、皇帝から統治の実権を奪った軍事政権を取り巻く勢力が、「グレイガルディア」の覇権を懸けて争います。更に、両者から締め出されてしまった人々、「アウトサイダー」も絡み、内乱は複雑化し、混迷化します。
戦乱の中で人々は辛苦に喘ぎますが、特に、帝政にも軍政にも見放された「アウトサイダー」の境遇は、悲惨なものです。そんな彼等の中に、「ファング」と呼ばれる最強の戦闘艇団が現れます。盗賊兼傭兵を標榜する彼等は勝手気ままに、襲って殺して奪って犯して、といった活動を自任しています。
そんな「ファング」が帝国の内乱に、どのように関わって行くのか。そして内乱は、どのように展開し、どのような結末を迎えるのか。内乱の中で、戦い、傷つけ合い、奪い合い、殺し合う一方で、助け合ったり、慰め合ったり、愛し合ったりする人々の姿も交え、「ファング」の戦いは描かれます。
「ファング」のかしら、カイクハルド、軍政打倒に挙兵した名将、プラタープ・カフウッド、辺境への蟄居を余儀なくされた「グレイガルディア」皇帝、ムーザッファール、統治の廃退に憂慮する軍事政権総帥ラフィー・ノースライン、「ファング」に捕らわれカイクハルドの妾とされた貴族令嬢、ラーニー・ハロフィルド。彼等の織り成す物語を、是非、ご覧あれ!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-19 17:00:00
1002044文字
会話率:49%