男爵の娘である私・アーシェは、伯爵家の三男であるベルンハルド・エストホルム様と婚約することになった。
実際に会ってみた相手はかなりの美男子で、騎士としても優秀らしい。
でもとても寡黙で、何を考えているのかよく分からない男性だった。
その
まま婚約することになって、無口なベルンハルド様とうまくやっていけるだろうか、と不安に思っていたけれど……。
ある日私は、ベルンハルド様の胸元に小さな紫色の花が挿されていることに気づいた。
どうやらその花は私にしか見えなくて、しかも寡黙なベルンハルド様の感情を表しているらしく……。
「お会いできて嬉しいです、ベルンハルド様」
「……そうか」
あっ、花がふわふわ揺れている!
「一緒に過ごせて楽しいです、ベルンハルド様」
「……ああ」
わっ、花がぽんぽん増えている!
婚約者はあまり愛想はないけれど、胸に咲いた幻の花が彼の気持ちを私に伝えてくれる。
でも彼が無口なのはどうやら、実家である伯爵家に原因があるみたいで……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-08 20:00:00
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