私は親の自殺を止めたことがある。
あれは私が小学校のころだったと思う。
母は大量の薬を飲んで、水を飲もうとしていた。
兄と僕が、力ずくで彼女の腕を抑える。
大量の薬が唾液で溶かされて、彼女の口から吐しゃ物のように漏れていた。
母は
痛い痛いと泣いていた。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-05 14:03:47
4173文字
会話率:2%
人は誰もが皆、人生の中で夢や目標を持ち、なりたい姿を思い描き、それを目指して生きている。
誰もが子供の頃に思い描いた将来の夢。
大人になったら絶対なりたいと強く望み、期待に胸を膨らませていた時代があっただろう。
しかし、現実ではそんなふうに
思いどおりになりたいものになれている人間はごく少数だ。
大半は夢を諦め、生活やお金のために仕方なく就いた職業に収まり妥協した人生を生きている。
彼もその一人であった。
稲葉智輝31歳独身。
彼にも叶えたい夢があった。
目指していたものがあった。
思い描いていた未来があった。
しかし現実は厳しく、幾度となく繰り返した挑戦もむなしく積み重ねられたのは失敗と挫折と精神疲労だけだった。
そんな彼に開かれていたある一つの道とある人物との出逢いが、それまでの彼の人生を大きく変える事になっていく。
これは、ただ何となく、仕方なく、大して情熱も持てない仕事に就きながら生きている多くの現代人に送る一つのヒューマンドラマである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-25 00:00:00
213849文字
会話率:37%