実家での小用を済まし、残暑に火照る身体を休めようと地階の喫茶店に入った西堀康代は、ふと数テーブル先に一人で陣取るその男の後姿を垣間見て、近年感じたことのなかったような戸惑いを覚えた。
単に雰囲気が似ていると言うのではない。男までの距離は
十分離れていたというのに、まるで過去の一日が不意に蘇って来たかのように、男は矢島慶二の人となりを康代に向けて発散していたのだった。
男は康代から見て背中を向ける位置に座り、また康代の気配を感じたようにも思えなかったが、不意に男が振り返り、その鋭い視線に射竦められたら、康代は眩暈を起こしてその場に倒れてしまうのではないかと鼓動を速くした。それほど男は過去の矢島慶二にそっくりだったのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-28 11:52:45
29674文字
会話率:43%
「お金はもうはらったわ!! だからいそいで私をつれてにげて!!」
魔階で鬼賊を虐殺し、その罪を償うため地階で奴隷となって売られていた男、鬼切りは、ある日天階の娘――天ムスに買われた。天使に追われる天ムスは聖典を届ける旅の護衛になるよう鬼切り
に命令をする。
これは鬼切りと天ムスの生きるための旅の始まりの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-01 09:53:13
9320文字
会話率:50%
地階地上階ともに、複雑に入り組んだ都心のターミナル駅。
男は乗り換えのために慣れた道順が工事のために使えず、回り道をした。だが、いつしか構内で迷ってしまうこととなった。さらに進んでいくうちに、彼は不可解な場所へとたどり着いてしまった。
最終更新:2020-07-26 06:00:00
7166文字
会話率:48%
核戦争後の日本を一人で生きる小野田。
乾ききって死ぬ寸前だった彼は、何かに導かれたように病院跡の地階へと辿りついた。
そのベッドで休んでいた時、高校生時代の平和な一時の夢を見る。
夢の中でも核戦争が始まったのだが、あらかじめ起こる事がわかっ
ていた小野田は、本来死ぬはずだった友人を助ける。
そして夢から目覚めた小野田は、世界が微妙に変化しているのを知った。
小野田は、危険を冒して過去の友を助けに行く。
変わる世界、迫る脅迫者。
『まずまず』な男、小野田が見る未来は、どのようなものに変化するだろうか?
他サイトにも投稿を行う可能性有り。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-28 00:00:00
50175文字
会話率:35%