アラン・フルーリーは兵士になった。
軍服を着たいと思ったことなどなかったが、それが、彼の暮らす国、イリス=オリヴィエ連合王国での[義務]なのだから、仕方がない。
マグナ・テラ大陸の南側に突き出た半島部と、そこに連なる島々を国土として
有する王国は、[連邦]と[帝国]という二大勢力に挟まれた永世中立国だった。
王国に暮らす人々には、誰かに押しつけたい思想も、誇示したい権威もない。
ただ、自分たちのありのままの姿で、平穏に暮らせればそれでよかった。
だから中立という立場を選び、連邦と帝国が度々、[大陸戦争]と呼ばれる大戦を引き起こしても、関わろうとはしなかった。
だが、一口に[中立]と言っても、それを維持することは簡単ではない。
連邦、あるいは帝国から、「我々に味方しないのであれば、お前も攻撃するぞ! 」と脅迫された時に、その恫喝を跳ねのけるだけの力が無ければならない。
だから、王国は国民皆兵を国是とし、徴兵制を施行している。
そこに暮らす人々はそれを、仕方のないことだと受け入れていた。
国力で圧倒的に勝る二大勢力に挟まれたこの国が中立を保ち、争いに巻き込まれないようにして平和を維持するためには、背伸びをしてでも干渉を拒否できるだけの備えを持たなければならなかったからだ。
アランは故郷での暮らしが好きだった。
牧歌的で、自然豊かな農村での暮らし。
家族と、愉快で愛らしい牧場の動物たち。
そこでの日々が性に合っていた。
軍隊生活は堅苦しくて、教官役の軍曹はしょっちゅう怒鳴り散らすし、早く元の生活に戻りたくて仕方がなかった。
だが、これも義務で、故郷の平穏を守るためなのだからと、受け入れた。
幸い、新しく配属になった分隊は悪くなかった。
そこの軍曹はおおらかな性格であまり怒鳴らなかったし、仲間たちもいい奴らだ。
この調子なら、後一年残っている兵役も無事に終えられるに違いない。
誕歴3698年、5月22日。
アランは、家に帰ったら母親が焼いてくれることになっているターキーの味わいを楽しみにしながら、兵役が終わる日を待ちわびていた。
これから王国と自身が直面することになる運命など、なにも知らないままに……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-23 12:00:00
117965文字
会話率:13%
北欧の小国たる僕らのスコルツ王国は、国民皆兵制度を採用している。
スコルツ王国の国土のほとんどを占める辺境(ラップランド)と呼ばれる地域には、二百万人ほどの国民しかいない。
僕らは〝国防実習〟の冬季演習に参加している。
このSタン
ク―――Strv.103SKは主砲を車体に固定装備し、砲の狙いは車体を油圧駆動のサスペンションによって上下左右に動かし調整するという独特な構造を持っている。
これはそんな戦車で僕らが過ごした、スコルツ王国国防実習冬季演習大会の話だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-09 18:08:25
5062文字
会話率:36%
高校生のクロダ・シンヤは学校から帰る途中で突然異世界の人間種王国――プルーセン王国に召喚され、魔王軍を倒してほしいと頼まれた。その世界は剣と魔法のファンタジー世界であり、特性と呼ばれる特殊能力もあった。シンヤは召喚と共に特性【勇者】に覚醒し
、その効果によって攻撃力や魔法に補正を得る。シンヤはその力を使って魔王軍に脅かされる各地を巡り、エルフや獣人の仲間と出会いながらハーレムパーティーを作り上げ、知識チートを使って戦を勝利に導き、魔王を封印する事に成功した!
そんな時代から三百年。戦争は変わった。
社会が進歩し、思想が進歩し、兵器が進歩した。
社会進化論の名の下に帝国主義が列強諸国を作り、宗教より理性が優先された事で大国間のナショナリズムが激突し、火器の進歩が国民皆兵制度を生んだ。
戦場は騎士達の誇りある戦を時代の彼方へと駆逐し、徴兵された兵士達が機関銃と大砲、魔法に怯えながら泥と血にまみれた塹壕を奪い合う国家総力戦へと変貌を遂げた。
これは戦局回天のために三百年の眠りから呼び覚まされた魔王と勇者の血を引く一族の末裔の話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-14 22:10:36
152752文字
会話率:40%
もし日本が国民皆兵を導入して、ゲリラ戦特化になったら
最終更新:2016-03-23 01:08:34
2701文字
会話率:0%
20XX年、日本は国民皆兵の道を選んだ。このころ朝鮮有事や帯銃者増加による治安悪化が顕著になっていたためだ。日本国内でのテロによる被害者が子供に多くなり政府は特別安全保安隊を自衛隊内に設置することに決定した。
特別安全保安隊とは生徒により自
衛をする集団であり、財政に不安のある政府の苦肉の策であった。
特別安全保安隊は通称安隊と呼ばれており、各クラスから1~2人でることになっている。そして有事の際には自衛隊が到着するまでの繋ぎとして戦闘をすることになっている。
もちろん二カ国や野党から反発がきたが政府はそれを一蹴し、特別安全保安隊法を設置した。
特別安全保安隊法を簡単にすると、
1.帯銃者増加による学校内での犯罪および有事にのみ活動を許可する。
2.銃を使用した犯罪を犯していない者を射殺した場合は三倍罪(死刑)が適応される。
3.特別安全保安隊が使用する銃および弾薬は政府が支給する。
以上3つが特別安全保安隊法の柱となっている。
これは掛川工業高等学校の安隊の物語である。
※一部実在の学校などがでますが、一切関係ありません
※この作品の数年後を書いた新作の執筆を開始いたしました。↓
http://ncode.syosetu.com/n2871cf/折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-22 21:39:29
22297文字
会話率:56%
ワープを実現するかもしれない夢の技術、だが実験は失敗し交わるはずのない二つの世界が重なり合ってしまった。
そして、戦争が始まった。
異世界と幾つもの“ホール”で繋がった地球、気候も生態系も大きく変わっり、“ホール”出現の影響で既存の技術を
尽く破壊された日本が舞台
主人公たちは新たに開発された戦闘機で大空の支配者となった竜を迎え撃つ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-01-07 01:35:59
781文字
会話率:32%