人身売買が許されるようになった世界。自己満足のために人を売り、自己満足のために人を買う世界。両親に疎まれ売られた俺、白井優希が、4回目に買われた相手は金持ちのお嬢様だった。
わがままですぐ人のことをパシるし、発言は全部上から目線だし、
自分の思い通りにいかないと怒るし。でも俺に暴力も暴言もしなかった。
屋敷のメイドや、専属運転手も同じだ。毎日美味しいご飯を作ってくれるし、優しく話しかけてくれる。みんな、俺のことを家族のように接してくれた。
だけど、彼女が何より望んだのは本当の家族の存在だった。
俺はまた、狭くて冷たい、檻の中へと、捨てられた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-19 11:35:26
14170文字
会話率:49%
人身売買が許されるようになった世の中。檻の中から私を睨みつけてきたのは、鈴木拓(すずきたく)という15歳の少年だった。
毎月2万払いで拓を買った私。無愛想なだけだと思っていたが、どうやら拓は喋れないらしい。
そんな拓の家庭力に驚かさ
れながらも、夏を越え、秋を越え、そして冬を過ごしていく。拓は少しずつ、笑顔を見せてくれるようになった。
順調だと思っていた。でもそれは、きっと勘違いだった。氷のような風が肌を刺す、真冬、拓は突然いなくなった。
仕事から帰ったら、いつもなら家で待ってくれていた拓の姿が、その日は何処にも無かった。
なんの前触れもなく消えた拓。1人分にしては多すぎる料理と、割れた茶碗を台所に残して――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-22 21:29:11
23936文字
会話率:19%