わたしは、ほかの家なら二階家のつくりの、大きな屋根裏のある平屋で、おかあさんとふたりで暮らしている。大人のひととの繋がりはおかあさんとだけだったけれど、外の大人のひとたちが他の人との繋がりで拵える顔の数がどれだけあるかを見抜ける、おませな
能力が備わっている。
大人は、その人に向けた別の顔を作るたび、顔に焦げ茶色の竹筒が刺さる。5本、6本どころか顔がみえなくなるくらいの竹串だらけのひともいる。大人は大変だなと思った。
けれど、おかあさんには、それがない。おかあさんは、箱入り娘。わたしを外にやっても、自分はお家の中にずっといる人。
おかあさんの毎日の往復は、階下と屋根裏だけ。屋根裏には、わたしと双子のお兄ちゃんが住まっているから。危ない家族のいるところからお兄ちゃんを助けるため、親子3人でこの家に逃れたから、お兄ちゃんは隠さなけりゃいけない。娘のわたしにもそれは隠しさなくちゃいけない。
かわいそうなおかあさん、そして、おにいちゃん。
だから、わたしも、だんだんと知ってきたこの家の秘密も分からないふりをしなくちゃ、いけないの。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-12 05:30:12
12883文字
会話率:1%
2年越しの片想い。
そんな恋が叶ったと同時に、もどかしくて切ない恋が始まった。
好きになった人は、親友の彼氏で……。
彼氏の双子のお兄ちゃんで……。
どうしようもできない。
こんなに好きなのに、想いを伝える事もできない。
親友を裏切ることも、彼氏を傷つけることも、大好きな人に迷惑をかけることもできない。
私は、こんなに大きくなった気持ちを精一杯心に閉じ込める。
「大好きだよ。」
この恋は、決して叶う事がないと分かっていても……。
私は、あなたを忘れるための努力をするしかないのかな?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-04-23 19:51:14
1376文字
会話率:50%