人類が五感と記憶を電脳で拡張できるようになった未来。
現実と記憶の境界は曖昧になり、人々は仮想記憶領域《エクスファリア》へと意識を接続することで、より自由で幸福な「もう一つの現実」を享受していた。
だが――その裏では、個人の記憶を監視・改
竄する国家直属の管理機構《アーカイブス》が暗躍していた。
「記憶は制御されるべき情報に過ぎない」
そう言い放つ彼らによって、都合の悪い過去や感情は次々と“削除”され、真実はデータの海に沈んでいく。
そんな世界に抗う少年がいた。
名はアーク・セレスティア。
自由を求め、誰の記憶も傷つかない世界を夢見る彼は、仮想世界で目覚めるたびに自身の記憶に「空白」があることに気づく。
彼が失ったものは何か――
その答えを追う中で出会ったのは、かつて弟を記憶操作で喪った少女セラ、
そして「自分が誰かも覚えていない」という不思議な少女リノア。
やがて彼らは、失われた記憶の断片が語る「真実」に触れていく。
――“記憶は人間そのもの”だと。
悲しみも、後悔も、痛みも。すべてが生きてきた証なのだと。
仮想領域《エクスファリア》を支配しようとする狂気の管理者《ザイロス》。
記憶の番人として立ち塞がる敵対者《アルマ》。
そして、忘れられてもなお誰かの記憶に生きる“英雄”の存在。
すべての記憶を犠牲にしてでも守りたかったものは、
果たして「誰かの過去」か、それとも「仲間との今」だったのか――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-10 18:56:47
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