「人は大人になれずに死ぬ」――――その言葉は世界の常識になった。
二〇三七年、突如として世界は変わった。性別も国籍も、身分や貧富の差も問わずに、生まれてから二十年以上を生きた人間に等しく死が訪れる現象が始まり、いつしか大人は世界から死滅し
ていった。
残された子供たちに絶望が蔓延し、混乱する世界。大人が消え、国家機能が麻痺した日本が法治国家であった面影は消え、子供たちは理不尽な暴力や略奪で自らの生存をかけて、限られた資源を奪い合っていた。
その現象が始まってから半年後、十三歳の成瀬啓太は無法となった日本で、あらゆる手段を使って生き延びていた。そんな時に「大人のいない世界で子供たちが等しく安全に二十年を生きられる社会を目指す」という『二十年国家構想』を掲げ、一人の赤髪の英雄が立ち上がった光景を目にする。
英雄は女子高生であり、名を天城怜樺といった。英雄は圧倒的な統率力で子供たちをまとめ上げていく。やがて一つの高校、通称『政府』が国の全権を持つ『一校独裁体制』を築き上げた英雄は生徒会長となり、実質的に国家元首として国を運営していった。
英雄の登場から三年が経ち、十六歳になった成瀬啓太は政府に入学し、二十年国家構想が浸透した社会で、ある信念を持って行動を開始していく。
これは彼らが未来を掴むための物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-02 16:55:38
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会話率:54%