東京で暮らしていた仲宗根 陽翔(なかそね はると)は、祖母ツルの訃報を受け、故郷・沖縄へ帰郷する。長年離れていた故郷の空気はどこか懐かしいはずなのに、陽翔の心には違和感が残っていた。
実家で出迎えた母の仲宗根 由美(なかそね ゆみ)や妹の
仲宗根 璃子(なかそね りこ)と再会するが、璃子から思わぬ言葉をかけられる。
「にぃにぃ、マブイ落としてない?」
沖縄には、人は強い衝撃や驚きを受けたとき、魂(マブイ)を落としてしまうという言い伝えがある。そして、落としたマブイを拾いに行かなければ、心や記憶の一部が失われたままになるというのだ。
祖母の死をきっかけに、陽翔は自分の記憶に空白があることに気づく。そして、幼馴染の喜屋武 真帆(きゃん まほ)とともに、記憶を取り戻すための手がかりを探し始める。
そんな彼らを、影から見守る存在がいた。神職見習いの南風原 美琴(はえばる みこと)。彼女は、祖母ツルの死の裏に何かが潜んでいることを察し、密かに陽翔たちを助けようとしていた。第二章では、彼女が持つ霊的な力「魂揺らし(たまゆら)」を使い、陽翔たちを不可解な影の襲撃から守る。
旅の中で、陽翔は祖母の遺した「マブイグミ(魂迎え)」の儀式や、沖縄に隠された戦争の記憶、家族にまつわる秘密と向き合うことになる。
マブイを失った陽翔が辿り着く真実とは。そして、祖母が遺した本当の願いとは——。
沖縄の自然と伝承を背景に描かれる、魂の再生の物語が今、始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-17 19:13:59
62245文字
会話率:32%
沖縄転勤生活の最後に久高島を訪れることになったことがきっかけで思いついた「海流ハイウェイベイビーズ」というタイトルに思いを馳せながら書いた作品です。沖縄の歴史・文化を知るにつれ、もしかしたら古代の人達は現代人が想像している以上に自由に、そし
て活発に広大な海を行き来していたのではないかという古代海の民族への憧れを現代に生きている今、素直に表現してみました。そして古代から続く祈りという行為は一体何なんだろうと漠然と考えてみました。私達が無意識の中に仕舞い込んでいる祈りの記憶を久高島の祭祀を通して少しでも感じてみたくて無茶な想像をしています。もし良ければ読んでください。また、この物語は作者の脳内でのみ発生した妄想をパソコンにタイプしただけのフィクションですので、実在する地名の方々とは何ら関係ございません。よろしくお願い致します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-27 21:19:19
289815文字
会話率:43%