この作品は、主人公テレとヒロイン景子が結婚するまでを語る小説である。「眠り続けるという難病を患う景子」と「世間との距離感を感じながら生活するテレ」が、摩訶不思議な出来事に振り回されながら、ゴールに向かっていく。作品の節目には、大きな木が登
場する。大きな木で始まり、大きな木の下で、愛を誓い合う物語である。
さまざまな神話のモチーフを織り込んでいる。日本の最初の夫婦神であるイザナギとイザナミが愛を誓い合うオノゴロ島の逸話を踏まえている。キリスト教の洗礼名が物語の鍵となる。仏教での僧侶の名前をつなぎ役にしている。神道、キリスト教、仏教をバランスよく統合していく。フィナーレの直前では、ノアの方舟のモチーフが登場する。
作品のテーマである「柱」は、神々の単位、天御柱、大楠、写真の重心、世界の中心や背景を含意している。肝になる「Q」は、明美の働くカフェ名であり、新生活や新世界につながる「何か」を意味する。
主人公の名前の「テレ」は、「遠い世界」という印象を含めている。「照れる」という性格も含めている。フィナーレの世界では、味方である明美やヨースケ、天海を登場させてハッピーエンドとした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-13 23:37:20
21644文字
会話率:49%
宮崎の高校に通うギャルの少女恵比寿ミコトは、異様なものを見た。それは、町が人を襲うという光景だった。襲い掛かる町に、ミコト自身殺されるという瞬間、ミコトは過去の「神代」の世界で目を覚ました。しかもミコトが居たのは、神代に暮らす「みこと」と
いう少女の体の中だった。
みことの案内で、彼女の暮らすオノゴロ島を見て回るミコトは、神代の世界が穢れに呑まれつつあり、穢れから生み出される禍神によって、日に千人の命が奪われている事を知る。そして、同様の大量死「イザナミ現象」という謎の異変が、ミコトの暮らす現代でも起きていた。
再び現代で目覚めたミコトを、禍神と化して襲い掛かる町から救ったのは、天原隠零というクラスメイトだった。翌日、再び神代で目覚めたミコトへみことが話したのは、別禍ツ神イザナミが穢れを生み出し、それを倒す事が出来るのが、みことのような「天子」と呼ばれる存在だった。
現代へ戻ってきたミコトは、神代のみことの友人アマテラスの生まれ変わりが、天原だと知った。そして、過去に起こったイザナミとの最終決戦でみことは死に、その後悔を、天原は今も抱え続けていた。
オノゴロ島を旅立つ直前のみことの中で目覚めたミコトは、これから先の未来に待つ「みことの死」を回避しようと行動するも、
「知っている…。イザナミを倒せば、天子は死ぬ」みことは自分の死を知った上で、イザナミを倒すために島から旅立った。
海上のみことの前へ、イザナミが現れる。みことはイザナミと死闘を繰り広げるも、イザナミの攻撃によって、オノゴロ島は消滅。みこと自身瀕死の重傷を負う。
みことに旅を辞めさせる事は出来ないまま、現代へ戻って来たミコトは、「現代のミコト」である今の自分に出来る事を考えた――その一つが、天原と「友達」になる事だった。
神代での旅の終わり――一〇〇〇日目の今日。イザナミとの決戦の地に辿り着いたみことが口にしたのは、ミコトとの別れだった。そして、産まれたばかりの我が子を、神様の力で未来へ送り出したみことは、イザナミとの決戦に挑んだ――この時未来へ送られた赤ん坊こそ、神代(過去)から現代へ流れ着いた恵比寿ミコト。神代のみことは、ミコトの母だった。
××年後の現代。地上は穢れに覆われて荒廃し、成長したミコトが、破壊された町中で向き合う相手は――イザナミと化して現代に蘇った、母親(みこと)だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-30 18:44:37
198799文字
会話率:21%
ぼくは引きこもりである。きみは働いている。
最終更新:2014-07-12 20:11:00
6291文字
会話率:0%