毎週水曜・土曜21時更新予定。古今と心霊現象を交えたフィクションです。エブリスタにて挿絵付きで完結(https://estar.jp/novels/26060432)しています。
許嫁姫が山神の化身とは知らず、離別際に連鈴(つなぎすず
)を渡し、生酷(いきごく)に身を置いた帝血の親王。その護役として、本寺の過渡期に遭遇した守護者とその弟子。山神の眷族の恩人でもある弟子は、大護役として禁事の道を選んだ。
弟子には秘された隠れ子がいた。隠れ子は、母の形見として渡されていた連鈴を、幼馴染の山神の巫女に、再会を約し渡した。しかし巫女は里人皆と非業の死を遂げ、暗界の者となってしまう。汚れ鈴を見て巫女の死を知った隠れ子は、一切を胸に秘め本流帝血としての役目を全うし、望んで鐘撞き堂の憑き物となった。
やがて歳月は流れ、巫女の魂が流浪の末に転生を迎える頃、隠れ子が動き弟子も動き出す。一方、親王より先に他界したはずの山神は、今だ親王に会えずにいた。鈴に憑いた隠れ子の情念が離れなければ、鈴を親王に返すことはできず、眷族の恩人を放っておくこともできなかった。
隠れ子が先ず転生し、後から巫女が転生した。二人は近くに生まれたが、互いに他生を知らぬまま大人になった。巫女は死霊となった弟子の憑(い)る寺に生まれていた。死霊弟子は、巫女の内に眠る力を開花させ、糧にしようと機会を狙う。それを知ってか知らずか今生でも察しの良い隠れ子は、巫女が気になりそれとなく側にいた。山神は山神で、一枝の入れ処を待っていた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-29 21:00:00
155070文字
会話率:79%