遡ることひと月前、あれはそう――二月十四日のバレンタインデー。
幼馴染のなっちゃんから貰った箱を見て、僕は悩んでいた。
一年四組の前から三列、窓側から二列目の、出席番号順ではとおになく。
かと言って好きな席座っていいぞとはならず
に、くじが一番妥当だ! という担任教師の鶴の一声により決まった、何度目かの席替えで自分に与えられた席につき。
授業も終わり、さんざんばらばらとクラスメイトが教室を出ていき一人もいなくなった頃。
もう少し細かく言うならば、まだ春にはちょっと早いよね、だけど冬真っただ中と言える程冬でもないなぁ。でも日の落ちるのはまだ早いからまだ冬中という事で、もう暗くなってしまいそうな今この頃。
あぁ、そろそろ明かりつけようかな。いや、動くのめんどくさいしまだいんじゃないか、と迷ってしまう程の暗さ加減。
刻々と暗さを増していく教室の中で、僕はけなげにもまじまじと箱を目にして悩んでいた。
片手で持てるほどの大きさの、綺麗にラッピングされた箱を消しカス一つないように、手の裏側面でさっと拭いて、ついでに数日前にノリにのって描いた落書きを消して、そこで出してしまった消しカスをもう一度カスを落とすためにさっ、さっと拭き拭きして、キレイキレイにした机の、ついでにど真ん中に恭しく置きなおして、少し距離を取ろうと椅子の背もたれに背中を預け腕を組みながら、悩んでいた。
さてこれは、はたしてどういう物だろう、と。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-14 21:00:00
5502文字
会話率:24%
懐かしい夢を見た灯里は、一緒に夕食を食べながら、年下の幼馴染である圭一とその時の話をする。
いつも通りだけど、いつも通りじゃない夕食の時間。
最終更新:2021-05-05 20:35:11
2298文字
会話率:38%
ちょっと不思議な学園を舞台にしたお話です。
主人公は「その人がその人であるという理由だけで誰かを助けるような、こころのきれいな人間になりたい」と望む少年・ケイタです。
ケイタはクラスメイトの少女・テンの心に傷があることに気づき、テンに
近づきます。
ケイタはテンの傷が癒えるために尽くし、またテンはケイタの「望み」を知り、それに応えるべく自分の傷と向かい合うようになります。
あとやっぱり心に傷を持つ先輩ミトとも出会い、ケイタ、テン、ミトの3人を中心に、周りのキャラクターのアレコレも交えつつ、物語が進みます。
文学フリマで頒布した『Make-Believe』と同じ内容です。また、自サイトとpixivでも公開中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-24 20:00:00
145449文字
会話率:40%