“黄金の鎧の勇士”が“機神”復活を阻止から一年。
その動乱の傷がいまだ癒えぬ中、各地の古代遺跡で機械や魔物の覚醒が発生する。
そして、それを狙って出現する鋼の骸骨たちの姿も──
それは古代文明が遺した最強の兵器“機竜”の仕業だ
った。
栄華を誇る一族がいた。
古代文明の遺産を背景に台頭した彼らはフィルディング一族と呼ばれ、“聖域”内の国々に確固たる権力を築き上げていた。
だが、その繁栄にも翳りが生じ始めていた。
かつて、一族の一人たる王が抱いた“機神”復活の野望は“戦乙女の狼犬”によって砕かれた。
そして王の後継者たる貴公子の野望もまた、称号を受け継ぐ若き“狼犬”によって阻止されていた。
一族の最長老は危惧していた。
このままでは一族は暴走し、崩壊の危機を招くと──
最長老の苦悩を孫娘は傍らで見つめ続けていた。
一族の天敵として“狼犬”を憎み、しかし、やがて来る若き“狼犬”との出逢いが自分の運命を決めることを知らぬまま──
“狼犬”の少年は決断を迫られていた。
“機竜”暗躍の影に“機神”覚醒を狙う一族の野望があることを知り、それを阻止するために“機竜”との決戦に挑まなければならない。
だが、それは愛する少女の存在そのものを失いかねない戦いでもあった。
これは“機神”に翻弄される運命を断ち切らんとする“狼犬”と──
“狼犬”の運命に殉じる勇士を護らんとする“戦乙女”の──
二人の運命が紡ぐ“聖域”の勇士の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-17 05:49:14
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かつて“戦乙女の狼犬”を名乗る英雄がいた。
彼の者は“機神”の力に魅入られた一族と戦い、復活せんとした“機神”とも戦った。
そして時は過ぎ、その称号は一人の少年に委ねられる。
英雄の称号と遺産を継いだ少年がやったことは、先代よ
り培った傭兵の人脈を利用した自作自演の戦いだった。
古の時代、栄華を誇った文明があった。
“闇”の魔力を利用した高度の魔導技術を発展させ、世界を統一したその王朝は〈エンシア〉と呼ばれた。
だが、世界の均衡を著しく乱したエンシアは、それゆえに破綻の危機を迎える。
エンシアの人々はそれを解決するため、機械仕掛けの神《アルターロフ》を誕生させた。
そして、彼らは後に“機神”と呼ばれる《アルターロフ》の暴走によって滅びることになる。
為す術なく壊滅していくエンシアは最後に、一人の少女を脱出させた。
王女であった彼女は地中を潜行する鋼の巨人に乗せられ、遙か地中深くで長き眠りにつく。
いつか《アルターロフ》が滅びた未来に目覚め、エンシアを再興させる願いを託され──
ある日、領土へ侵入した謎の部隊を追っていた“狼犬”の少年は、一体の鉄機兵と遭遇する。
古代の遺産である巨人の中には一人の少女が眠っており、少年はその少女を託されることになる。
これは“闇”に抗う宿命を選んだ少年と──
“光”の導く運命に選ばれた少女の──
二人の出逢いから始まる“聖域”の勇士の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-11 10:03:12
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