幕末の頃、今の奈良県御所市に当時日本初の女医がいた。彼女は、天誅組事件で首謀者の一人だった吉村寅太郎の傷を、逆賊でありながらも恐れずに治療した。天誅組の蜂起は失敗に終わり、彼らを支援した人々も犠牲になった。明治時代の夜明けを見ることもなく、
日が昇る前にあらわれる幻のような光(かぎろひ)のように消えていった人々である。女医はその後も、一生を医業に捧げた。
この作品はアジア文化社「文芸思潮」作品の広場にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-06-03 08:40:37
17530文字
会話率:36%