佐藤大翔はバドミントン部に所属する、ごく普通の男子高校生だ。
趣味はカラオケとお菓子作り。料理もそれなりに作れる、家事力の高い男子高校生である。
異能なんて持ち合わせていない。
魔法なんて知らない。
武術なんて修めていない。
チートは押し付
けられた物があるけど、そこら辺の不良とタイマンしても負ける程度の戦闘力だ。
それでも、佐藤大翔は勇者である。
勇者でなければならない。
何故ならば、彼以外に世界を救う適格者は存在しないのだから。
けれども、敵は強大。戦うことすら無意味の怪物たち。
存在するだけで、世界を凍り付かせる冬の女王。
存在するだけで、世界を闇に沈める夜鯨。
二体の超越存在には、異能も魔法も武術もチートも無意味。
こんな怪物たちに、どうにかして上手いこと立ち退き要求するのが勇者の使命なのである!
「いや、無理だと思うんだけど?」
『《私も同感ですが、世界の命運がかかっているので駄目元で頑張りましょう》』
これは、勇者になってしまった普通の少年の冒険譚だ。
相棒のラジオと共に、数多の異世界を渡り歩き、普通の日常を取り戻すための物語だ。
――――さぁ、運命をぶち壊すための旅を始めよう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-09 23:00:00
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会話率:33%