舞台上には、セーラー服姿に血塗れの仮面という、奇妙な格好の人物が立っていた。彼女は犠牲者にして勝利者、虐げられた女にして復讐を遂げた者――
凪城高校演劇部の次回公演演目が『アガメムノン』だと告げられたとき、わたしが思ったのは、「——何
で、アガメムノン?」だった。アイスキュロス作、古代ギリシア悲劇。高校生としては、いささかクラシックな舞台演目。
夏休みになり、着々と舞台隊準備が整っていくあいだにも、わたしの疑問がなくなることはなかった。そこで、今度の舞台の発案者が誰なのかを、探っていくことにする。部員の一人ひとりに質問していくわたしだったけど、犯人(?)探しはいっこうに捗らない。
でも、わたしはどうしても、知りたかったのだ。
――そこにある、運命みたいなものの正体について。
そしてとうとう、わたしは真実を知るのだけど……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-08 00:00:00
43028文字
会話率:39%
時は現代。所は日本。
とある、さびれた町の一角、
これまたさびれた住宅街の端っこで、
彼は息を潜めて暮らしていた。
彼の名は、尾崎秋弐。
今春、高校二年生となる。
彼は、『選ばれなかった少年』と、
周りからは侮蔑を込めてそう呼ばれている
。
取り上げるほどの特技もなく、
主張は控えめ、気性も大人しめ。
クラスでの立ち位置は、さしずめ
『いてもいなくても』といった具合。
これは彼が長い間かけて築いた、
無難で目立たない、地味な立場。
突然だが。
彼には、ある計画があった。
その計画とは、
彼の人生を変えてしまわなければ
成り得ないほどに。
存在自体を変えてしまわなければ
成り得ないほどに困難を極める計画だった。
目的はただ一つ、
『奪還』だ。
3年に渡る長い長い計画の終止符が、
今ここで打たれようとしている。
その瞬間を、この作品で。
この作品で、覗いてみては如何だろうか。
果たして、彼の復讐劇は
成功に終わるのか、それとも……
時は現代。所は日本。
――セカイは、異変に包まれた。
『セカイの異変』
(2015/06/15 執筆開始)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-16 10:33:56
5753文字
会話率:9%