冬の終わり、誰もいない丘の上で、少年は少女に出会った。
白い息と静けさの中、彼女はそこに「いる」よりも「在る」に近い存在だった。
まるで、季節の狭間にふと現れた夢の欠片のように。
彼女の名前を聞いた気がした。けれどそれは、風にさらわれて消
えた。
何度か言葉を交わし、何度か笑い合ったけれど、いつも次の瞬間には遠ざかる幻。
それでも少年は、その曖昧な光に心を惹かれていった。
やがて春、高校の制服に身を包んだ彼女は、現実の中にいた。
教室の陽だまり、窓の外の風、手のひらのぬくもり――
まるで彼女がこちら側の世界に降りてきたようだった。
けれど、どれだけ時間を重ねても、
彼女の瞳の奥には、触れられない景色があった。
まるで、今もどこか遠い場所で、
自分に気づかれないまま眠っている夢のように。
これは、手を伸ばした先にあった温度と、
手を伸ばしてもなお届かなかったひとつの恋の記憶。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-21 01:56:10
16719文字
会話率:16%
ある日、逆さまの蝶の蛹を見つけてしまい、そのまま育てることにしたエッセイ。
最終更新:2025-04-20 13:55:14
1902文字
会話率:0%
十七歳の誕生日、陽菜は道路に飛び出した子供をかばって、車にぶつかる。
軽い脳震盪と打撲で済んだ彼女だったが、病院のベッドで目覚める直前に、懐かしい声を聴いた。
麻野慶太…彼は、陽菜にとって忘れる事の出来ない存在だ。
中二の夏に死んだ
彼の声が急に聞こえ始めた陽菜の毎日は、昔と変わってしまった自分への嫌悪と困惑に振り回される。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-09-15 21:48:27
45339文字
会話率:40%
ニートとは、通学せず、独身で、働かない十五~三十四歳の人のことである。※逆さまの蝶さんが書かれた200文字小説『悠々自適のニート生活』をアレンジしたものです。
最終更新:2010-03-22 22:59:27
1560文字
会話率:31%
それは、小さい小さい高校の、小さい小さい演劇部のお話。汀の所属する演劇部は、来年で廃部になってしまう。そんな決まってしまった決定事項に汀はある決断を下す。その判断とは、最後の大会で優勝すること。最後の夏休みが幕を開けた。
*****これは、
桃蓮様、逆さまの蝶様、BJ様のリレー小説です。文章力、書き方が違います。ご了承下さい*****感想・評価等をお待ちしております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-01-22 02:33:42
12301文字
会話率:45%