勇者が魔王を打ち倒し、人類と魔族の総力戦が終結してから三年。その世界は危うい均衡の上で成り立っていた。
東の帝国は世界を滅ぼす魔法を知っている。西の共和国は世界を滅ぼす武器を持っている。両国は対立していたが、共倒れを恐れて全面戦争を避
けた。その代わりに敵対国や中立国へスパイを送り込み、密かに敵への妨害工作を行った。表向きは戦わずに、裏から手を回して敵を陥れる時代。諜報戦の時代である。
そんな一触即発の異世界に平凡な大学生の青年が迷い込んでしまう。彼はそこで奇妙な女騎士と出会った。彼女は諜報という名の騙し合いが当たり前になった時代で、正々堂々とした騎士道精神を貫こうとしていた。そのため、時代遅れの変わり者として周りから浮いていた。
青年はひょんなことから女騎士の従者になる。……しかし、青年は騎士道精神の建前とは裏腹に少々ひねくれた本音を隠していた。
そうとは知らない女騎士は、従者を連れて世直しの旅に出る。
これは熱血騎士と冷血従者が繰り広げる「勧善懲悪」の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-25 23:04:52
42430文字
会話率:41%
《呪われし帝国の十三姫》。それが、リリアノエルだった。太陽に嫌われ月に愛され、生きることも死ぬことも許されない呪い。リリアノエルの雪色の髪、血のように赤い瞳は、太陽神の祝福を授かれない証で、リリアノエルをこの世に生み出した父に愛されず、この
ように離れの館に隔離される理由そのものだった。リリアノエルは、ある日一人の死にかけの青年に出会った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-27 10:21:17
2939文字
会話率:27%