大正十年、薄暑のこと。帝都で写真家をしていた伊達夢明(だてゆめあき)は、豊かな自然を撮るため七年振りに盛岡へ帰郷する。下宿先として紹介された洋館「蚕屋敷」の主、蚕影天涯(こかげてんがい)とその娘、嘉多子(かたこ)に歓待される中、夢明は迷い
込んだ桑林でひとりの娘と会う。
姫子(ひめこ)と名乗る白髪に白無垢を纏った少女は、帝都からの稀人である夢明と、彼の持つ写真機に興味を抱き、己が姿を撮影して欲しいと請う。それを契機にふたりは逢瀬を重ね、互いに惹かれ合うが、姫子は自身に蟲の血が流れることを、そして来訪神に捧げられる生贄であることを夢明に打ち明ける。
「妾は、あの化物に犯され、喰われて果てる。そのためだけに産まれた贄なのよ」
夢明は姫子を帝都へ連れ出そうとするが、少女の一族が、そして少女の良心がそれを赦さない。どうすることもできぬまま儀式の夜が迫り、ついに神官達の手によって、繭の中で眠る姫子は攫われてしまい――。
近代日本において、古の慣習に囚われた蚕達と、写真家としての在り方に煩悶する若き男の物語。
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※この物語は作者の妄想に基づく完全なるフィクションです。登場する団体、職名、地名、氏名その他名称において万一符号することがあっても、創作上の偶然であることをお断り致します。
※かつて異なる筆名で本サイトに投稿していたものを加筆修正した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-25 19:16:54
78373文字
会話率:37%
高校2年生の豊浦優花里は、幼馴染の島朱美と共に部活の調査で八王子市鑓水の諏訪神社境内にある蚕影神社を訪れる。この時、優花里は謎の光に包まれてしまう。数日後、祖母から古いネックレスをもらった優花里は、このネックレスが光を放つ度に不思議な[夢
]を繰り返し見ることになる。
一方、つくば市神郡では2000年前に製造された絹織物が5年前に発見されていたが、その絹織物に施された模様が優花里のネックレスと同じ模様であることを朱美が見出す。この奇妙な一致に優花里は驚くが、かといって何ら検証することもできないでいた。しかし、神郡では2000年前に製造された織機の部品と金銅薬師如来坐像が新たに発見されることになる。
優花里はこうした出来事を全て偶然と片付け、クラスメイトの活躍に感化されて陸上競技を始め、マイペースにそれなりに充実した高校生活を満喫していたが、年末に敗戦直前に起きた不思議な出来事を祖母から聞かされるに及び、これまでに見た[夢]の真実を理解するようになる。
9/3 [カクヨム]にも同一内容で投稿しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-09 12:42:04
192632文字
会話率:62%