俺、天木竜司の趣味は空を眺めること。
仕事で訪れる町に着くと、まず俺は空を見上げる。
青空の後に決まって目に留まるのは、鳥でも、雲でもない。
村では見かけない、翼を持った人間――有翼人の姿だ。
俺も、いつかあんな風に空を飛びたいと
思っている。
しかし、村では未だに翼を持つ人間への差別が残っていた。
空への憧れを許されず、有翼人と未成年の村の出入りを一切禁じる。
それが俺の村に残る掟だ。
妹の茜は賑やかな町への憧れを抱いているが、村から出る事をまだ許されていない身。
連れていけと言われても、連れていけば掟に破ることになる。
耳が痛くなるほど言われても、連れていく事はできない。
そんな俺達兄妹の生活に刺激を与えたのは、流行り者の着物とは駆け離れた法衣を羽織り、リンと名乗る一人の少女だった。
追記:
『サイクル・トランス 転生した僕らは二重人格で通ってる』
海斗視点の約二年前のストーリーです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-12-17 20:17:08
59885文字
会話率:64%