クロイツェン王国⎯⎯過去かつてない衰退に追い込まれたこの国は、新たな政策『冒険者』を取り入れる。その当時、世界中から様々な人が絶えず来航し、多様化した人種構成を持つようになると、いつしかこの国は、こう揶揄され呼ばれていた⎯⎯『交境王国』⎯
⎯と。
“一流冒険者重傷! 復帰は絶望的か……„
彼は、そう見出し書かれたギルド掲示板の張り紙に目を止めた。続きを読む。
“クロイツェン王国出身の一流冒険者、剣士ライトが聖剣の探索中に右腕を負傷した。幸いにも命に別状はなく、組んでいたパーティーの他三名も、重傷だが同様に生存が確認された。しかし負傷した右腕は利き腕であり、筋肉や骨といった組織がズタズタにされたとも情報が入っており、事実であれば剣士、ひいては冒険者としての復帰は絶望的との見方が強まっている。また、捜索中であった聖剣については、見つかったとも既になかったとも言われ……„
「……くっ……」
そこまで読んで彼はそれから目を離した。そして後悔した。
彼の名前はライト、先の紙に書かれていたその人である。
これは剣士として道を断たれた青年が、畑違いの職業「記者」になり、一流冒険者への再起を果たそうと志した話…………
※2021/1/5 完結します。旧題「聖ペン伝説(仮)~聖なるペンと伝説(になる予定)の記者《ジャーナリスト》~」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-05 18:21:12
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