橘啓吾はいびつな青年であった。
両親を失ってからこちら、ただただ人の目ばかりを気にして生きてきた。
傷つくのが怖くて遠ざかり、それでも愛されたくて虚ろな目で佇んでいた。
祖父だけが彼の理解者だった。
剣の道を示し、趣味を教え、生きる意味を与
えてくれた。
けれど唐突に、不条理に、その人生は終わった。
代わりに青年が手に入れたのは異世界への片道切符。
前世で願い続けたものを青年はようやく手に入れた。
『人は、なにを思い、なにを為すかによって自分を自分たりえるものさ』
戦火と謀略が迫るとき、一人の剣客として彼はなにを為すのか。
後の世に百花繚乱と謳われた時代を、燦然と駆け抜けた英雄がいま胎動する。
これは異世界にその名を刻んだ偉大な戦士たちの物語、『エインヘリャル物語』の最初に記されたある剣客の伝記である。
【著者のつぶやき】
この作品は以前投稿していた連載作品がルーツです。本当に書きたいものを書く、という信念のもと執筆しております。
あまりにも書きたいものと違ったために長い潜伏と共に設定から作り直しました。そのため登場人物などにも共通点が見られますがご了承をば。奇特にもお待ちいただいていた方は本当にありがとうございます。
それでは本格ファンタジーをじっくりとお楽しみください!
*一日一話を投稿予定(三千字超える場合は分割)
*一部いただいたイラストを載せております、苦手な方は非表示設定をお願いいたします
*”カクヨム”さまでも投稿しておりますが、こちらの方がメイン&最新です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-07 20:32:02
183637文字
会話率:28%