幼い頃に竜人の王族の番として隔絶された塔の中に保護されたヒト族の少女フィオナ。番の命令により他人と関わらず、塔からも出ることができずに不自由な暮らしを強いられていたが、彼女に大きな不満はなかった。なぜなら前世で信頼する人に裏切られ処刑され
た記憶があり、他者と関わることを避けていたからだ。
そんな彼女の悩みはただ一つ。前世であれほど愛していた番に対して、今世では恋心が抱けないことだった。
ある日、フィオナに転機が訪れる。番の噂を聞きつけ殺害しにきた、敵国軍人ルイとの出会いだった。彼を見たフィオナは、あっという間に一目惚れし、たちまち恋に落ちてしまう。
一方で、ルイにもある思惑が芽生える。それは竜人の番であるフィオナを誘拐し、竜人との戦争における交渉の道具にするというものだった。
竜の番として育てられた少女が、竜を憎む青年に、苛烈に恋をする物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-24 13:30:50
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会話率:14%