我々の世界は融けてしまった。
無秩序にその他多くの異世界と一緒くたにされ、冒涜的な混沌に染められて、数多の常識が破壊された。
日本という国はバラバラになり、世界という地図はもはや描きようがないほどに歪み蠢き、日常は非日常の中に落とされた。
そんな世界においての市役所員である三上春は、仕事を辞めるかどうかについて悩んでいた。
どれだけ世界がイカれていようが、人の悩みは大小さまざまだ。
或いは、それだけ春という女性がありふれた存在ということなのかもしれないが、なんにしても彼女は自分の進路に躊躇いをもって生活していた。
ある意味で、重要な分岐点に差し掛かっていたといってもいいだろう。
そこで、彼女は一人の女性と出会う。
東雲八咫という名のそいつは、傲慢で、暴君で、人間嫌いで、あげくどうしようもないくらいの毒舌家で――
これは最悪の女と相棒になる三上春の物語。
これは最悪の女と共に、不条理極まりない世界に踏み込んでいく物語。
そしてこれは、多分そんな女を好きになってしまう、ちょっと短気なお人好しの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-29 23:00:00
12908文字
会話率:29%