この世界では「書かれたもの」が全てである。記録されることで存在が確定し、記録されぬものは“なかったもの”として扱われる。
だが、誰にも読まれず、誰にも記されなかった魔導書──
その無記の書を手にした無名の魔法使いの少女が、大国図書塔の最奥
へと足を踏み入れる。
そこで彼女が出会ったのは、世界のすべての記録を統べる存在──番人。
しかしその番人もまた、自らが"記された存在"なのか、それとも"誰かによって読まれた結果なのか"を知らずにいた。
「書かれていない魔法を、私は読む。」
少女と番人の出会いが、世界の“言葉”と“記憶”の根底を揺るがしていく。
これは、“読まれる”ことを忘れた世界における、魔法使いと機械の旅路。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 15:27:42
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会話率:40%