二ヶ月前に付き合い始めた可愛い彼女、早川詩乃さんは、誰にも内緒でバイトを始めていたらしい。
たまたま訪れたケーキ屋で、詩乃さんは俺を見て顔面蒼白になった。
「隠そうとしてたわけでは……あるんだけど、悪意はなくて! ごめん!! あの、でも、
もうちょっとしたら言うつもりだったの。ほんとにもうちょっとしたら……」
しゅんとしながら弁明する詩乃さんに、察してしまう。
……『もうちょっと』。たぶんそれは、俺の誕生日までだ。
付き合って初めての誕生日に浮かれる高校生男女のお話。
彼女の傍では息がしやすくて、ずぶずぶ沼に沈むように好きになっていくのが自分でも怖い男の子と、そんな重い感情には気づいていないけど、知ったところで「か、かわいい……!」ってなるだけの女の子の、今日も明日もこれからも幸せなお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-06 00:00:00
10477文字
会話率:35%