時は清朝/西部開拓時代。
廃止された黒人奴隷たちに代ってアメリカ西部で過酷な労働に従事した中国人労働者、苦力たちは、労働から解放されるために、中国本土で学んだ武術と、アメリカで手に入れた銃器を融合させた流派、ガンフーを創設する。
苦力が編み
出したガンフーは瞬く間にアメリカ全土から世界へと広まった。
己のガンフーにものを言わせ荒野を自由気ままに生きるアウトローの一人、カラミティ・ジェーンは、最愛の相棒ワイルド・ビルを中国最強の拳客フォン・フェイフォンに奪われる。
復讐を誓ったジェーンがフォンを追って向かった清で出会ったのは、函館戦争で戦死したはずの土方歳三だった……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-02 07:11:38
15857文字
会話率:36%
本作は、「もしも古代中国にモールス信号の様な二進符号体系が存在したら?」という歴史改編SFである。この世界観は、ギブスンおよびスターリング「ディファレンス・エンジン」からの借用だ。十九世紀半ばのロンドンを古代中国へ、コンピューターをモールス
信号にしてしまえば、もうあとの違いはない。但しモールス信号を送受信する機械が存在するためには、科学思想、数学、物理学、工学などを必要とする。また符号の送受信を行うための器具を作成、メンテナンスするための技術者、技術者を育成する機関なども必要になる。とても古代世界に揃えられるような代物ではない。そこで超能力かなにかによって、人間が電磁波を送受信できる設定を取り入れた。このアイデアは佐藤大輔「皇国の守護者」から借用している。人間が電磁波を送受信する能力を「導術」と呼ぶ。我々の世界で電磁波と呼ばれているのは「導術波」となり、導術を扱いこなせる人材は「導術士」と呼ばれる。これらの単語も「皇国の守護者」から借用している。何故導術がこの世界で必要とされたのか。幾ら激烈な戦争があったからといっても、即時通信手段を社会が必要とする描写が欠けていた様に思われる。
モールス信号と同じく、導術波にはトンとツーの二種類の信号しか存在しない。ここで中国独特の事情が関係してくる。漢字は数万種類も存在し、それぞれの読み方は決めっているわけではない。たかだか数十文字を符号化すればよい欧米とは事情が異なる。また広大な中国大陸では、一つの文字をどう発音するのかすら各地方ごとに異なる。そのため文章ではなく、単語の羅列を送受信することになる。結果、複雑な情報を導術で送受信することはできない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-24 23:07:17
19252文字
会話率:34%