ある夏の日のこと。神社の境内で牛鬼に襲われた。死を覚悟したとき、女の子が忽然と現れた。彼女は何者なのか? かつて親しき仲だったとは、このとき気づきもしなかった。それは彼女の容姿が変わり果てていたからではない。むしろまったく変わっていなかっ
たためだ。まだ幼かったあの頃、彼女のことを少し年上の優しいお姉さんだと思っていた。山で遊んでもらったことは鮮明に覚えている。それなのに彼女は長い時を経ても、昔と同じ子供のままだった。そしていま恐ろしい牛鬼から命を救ってくれた。だからそのお礼として、この体に憑依するのを認めてやることにした。
ところが……。
憑依関係を結んだ直後、奇妙な異世界に召喚されてしまった。召喚魔法を使った犯人は一人の少女だった。上品さと美貌を兼ね備えた彼女は、なんと名家の令嬢らしい。だた何か勘違いをしているようだ。オレ、山神じゃないんだけど。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-06 11:19:58
180892文字
会話率:30%