長年隣国と争い続けているフロル王国には、英雄と称えられる一人の姫君がいた。圧倒的な剣の業をもって戦果を積み重ね、劣勢の戦況を支える〈剣姫〉第三王女フラネーヴェ。
弱冠十八歳の英雄は、ドレスにも宝石にも、色恋沙汰にも興味がない。剣を振るい
、敵を退けることにしか関心を示さないという。しかし、ある戦を終えて父王に褒美の希望を尋ねられた折り、剣姫は言った。
「父上、アヴェラン・シューヴァをください」
あろうことか、彼女が求めたのは自ら降した敵国の軍人――しかも、己の倍も歳を取った男だった。
これは剣として生まれ、剣として生きた少女のささやかな恋物語……の、はずである。おそらく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-24 00:10:50
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会話率:43%