朝鮮王朝最後の皇女としてこの世に生を受けた徳恵姫(とくけいひめ、本名は李徳恵、韓国の呼び名は:徳恵翁主)。
日韓併合から終戦後に至る激動の時代に生きた彼女の本当の姿を語った本はいまだありません。特に日韓併合期の歴史の多くは語り継がれることな
く埋もれており、それは徳恵姫についても同様です。一方で韓国では昨年公開された映画『徳恵翁主』のような、反日フィクション・アクション映画に彼女の姿を貶めた作品が発表されてしまいました。
この小説は小説の形態をとりつつも彼女の生きて来た真実の姿を、筆者が発掘した日韓併合期の資料を突き合わせながら書き表したものです。
徳恵姫が幸薄いことが定められていた母から生まれてから、父である元大韓帝国皇帝高宗の寵愛を受けた日々、そしておそらくもっとも彼女が幸せを感じたであろう京城(現ソウル)日の出小学校での日々と、日韓でとりあげられラジオ放送でも紹介された「童謡の姫君」としての徳恵姫。こうした日韓の歴史のはざまで埋もれた、いや埋められてきた徳恵姫の実像を、彼女自身や証言者の言葉を用いつつ紹介したいと思います。
エンディングの夫婦の会話は完全に創作ではありますが、彼女たちをつなぐものが確かにあった訳で、病気が無ければ幸せな夫婦となったのではないかと惜しまれてなりません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-23 00:01:19
8232文字
会話率:14%