男爵家の一人娘、アビゲイルは二十四歳。
十五歳のある日を境に、恋愛も結婚も諦めて家の中でひっそり暮らしてきた。
そんなアビーが幼なじみテッドをかばって額に大怪我を負う。怪我を負わせたのは『殺戮の使徒』と呼ばれる英雄、ギルバート・イーガ
ン伯爵。
不本意ながらアビーの額に傷をつけてしまったギルバートは偽装結婚の相手を探していた。
「あんな傷が額についてしまっては、あの娘はもう結婚相手を見つけるのは難しいだろう。ならばあの娘にかりそめの妻役を演じてもらうのはどうだろうか」
アビーはアビーで『伯爵の剣から逃げた幼なじみの命乞いに役立つ』と考えて結婚の申し込みを承諾する。
こうして双方に愛のない契約結婚が成立した。
人生に何の希望も持てなかったアビーだったが、結婚したことで勇気と目標を持つようになっていく。
ギルバートはアビーの優しさに触れて少しずつ冷たく固まっていた心がほぐれていく。
『人を信じない、失うものは何もない』と思って生きて来た殺戮の使徒・ギルバートと、抱えている秘密ゆえに恋愛も結婚も諦めて家の中だけで生きてきたアビー。
そんな二人の苦くて甘い新婚生活の行方をお楽しみください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-09 00:00:00
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