ある年の六月も中旬を迎えた頃のある町、荊(ばら)原(はら)時計町が物語の舞台となる。
この町に、しなぢく保育園』の年長クラスで、『いばらぐみ』の園児、『飢(き)餓(が)憂(ゆう)』くん六歳が住んでいた。
感受性が強く、何でも
信じてしまう馬鹿が付く程にスイート(甘美)な性格の子。
しかし、世の中は無情で、他人は非情。甘いものではない。
――ことに、飢餓憂くんが通園する『しなぢく保育園』の園児たちは、一味も二味も――どころか、一口たりとも口にはできない、舐めることすらも憚(はばか)られる下手物揃い。
そんな美味しそうな男の子と、色々な意味で口にできない多種多様な下手物たちで、物語は食い荒らされていくのだった――
『しなぢく保育園』の近隣に位置する『さわり公園』。
現在、公園を支配している?のは『しなぢく保育園』のフラワーギャングの連中――
そんな甘くない苦々しくて禍々しい、清々しくない今どき?の園児たちが日々、熾烈な縄張り争いを繰り広げて――――といっても、それは数週間前までのこと。
憂くんのクラスの『いばらぐみ』と、その隣のクラスの『まつぽっくりぐみ』、同じ年長組の二大勢力(二クラスしかない)が争っていた。
そして、『まつぽっくりぐみ』のボスが、『いばらぐみ』のボスに敗れて、引き籠りになるという残念な形で決着がついた。
しかし、この町がそれで平和になったということではなかった。
この地は、依然として小ギャング、いや孫ギャング、曾孫ギャング、年齢的には玄孫(やしゃご)ギャング世代だろうかという幼年共が、跋扈(ばっこ)する無法者地帯となっている。
――――後に、この地が再び惨劇の舞台となるのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-07-20 22:59:01
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会話率:45%